(6) 低コンテキスト文化における経営組織の構造と機能
多様な文化的に異なった背景をもつ人々によって構成される組織は、労働流動性が高く、個人は今日から活躍するという前提で社会が成り立っており、業務を実施するにはマニュアルが必要な社会である。文化的背景なしに業務を進めるには、言葉の定義と契約、言葉による指示、意見交換などが必要な社会である。すべての契約や発想は、性悪説から出発している。性悪説とは、一種のリスクマネジメント的な発想で、“転ばぬ先の杖”を準備した人間関係が成立している。
(7) 高低コンテキスト文化間のアプローチ
高コンテキスト文化における企業では、集団効率が高いといっても、終身雇用、年功序列制度の崩壊、報酬制度、人事考課制度が変化するなかで、グリーンエリアがどこまでもちこたえられるか疑問がある。その問題はさておき、高コンテキスト文化から低コンテキスト文化へ接触する場合、異文化コミュニケーションが当面の課題となる。高コンテキスト文化圏を構成するには、社会制度と長期的な文化圏育成の時間が必要である。そのため、他国の人々に高コンテキスト文化的手法で接することはできない。したがって、高コンテキスト文化の人々は、異文化コミュニケーションを文化的背景にした人々に自己の意思を確実に理解させる手法として、低コンテキスト型の手法を取り入れ、受け手の立場に立ったコミュニケーションを心がけることが急務になっている。