(1) 「場」の理論
(a) 場のダイナミズム
「場のダイナミズムと企業」から定義を借用すると、「場」とは、人々が参加し無意識のうちに相互に観察し、コミュニケーションを行い、相互に理解をし、相互に働きかけ合い、共通の体験をする、その状況の枠組みのことである。そこでは、人々がさまざまな様式で情報を交換し合い、その結果、人々の認識(情報集合)が変化する。このプロセス全体が情報的相互作用であり、場とはいわばその相互作用の「容れもの」である。
(b) 組織の経営と「場」のマネジメント
「場」という物理的空間に参加する人々は、自動的にそこで飛び交う情報を共有できる。参加する人間が情報を発し、他人が反応するダイナミズムまで含めて、空間は情報のキャリアで満たされている。また、人々には「連帯欲望」という他人と何らかのつながりをもちたい欲望がある。場という空間を通じて情報が相互作用をする中で、他者との共通部分が発見されると、共振という作用が働き、場のエネルギーが高まる。