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6-1-1 戦後日本の品質活動(3)
ノート:
③米国の巻き返し
1970年代後半、米国が日本の製造業の競争力向上に注目し、日本を調査した。そこで発見したのは、
①OCサークル運動
②Just-In-Timeのトヨタ式生産方式
③下請けを巻き込んだ生産方式によるコスト削減と開発期間の短縮など
これには米国でだけでなくヨーロッパ各国も注目した。特に米国は、当時のレーガン政権の下で、商務省長官、Malcolm Boldridgeが中心となり運動を主導した。この運動は、ただ日本の方式を取り入れるだけでなく、本質的な考え方を解明し、独自の考え方を付け加えた。それは、品質を単に製品だけに限らず、顧客満足を生み出し、環境問題や社会責任を強調する経営品質(Management Quality)としたことである。また対象領域を企業だけでなく、病院や自治体などにも広げた。
この考え方を基にして、評価基準を公表し、その基準を満たした組織にはマルコムボルドリッジ賞を授与することになった。これは合衆国の法律で制定され、大きな効果をもたらした。これに習って、1992年にはヨーロッパにおいてもヨーロッパ品質賞、1996年には日本でも日本経営品質賞が設立されることになった。
④ISO9000規格による品質管理
一方、1970年代において多くの欧米諸国で品質保証の要求事項に関連する規格が制定された。このような規格を各国が別々に持っていることは国際的な通商活動の障害になることが懸念され、これらの規格を統一して品質保証の国際規格を作る動きが起こり、1979年にISO(国際標準化機構)において「品質保証の分野における標準化」のための技術委員会(TC176)が設置され、1987年にISO9000~9004の5つの規格が制定され、1994年に第1回の改訂、2000年に第2回の改訂がおこなわれた。
本規格は、高度成長を成し遂げた日本企業の躍進に歯止めをかけるために作られたとも言われているが、今日では日本においても多くの企業、団体が本規格にもと基づく審査登録制度の認証を取得している。