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6-1-1 戦後日本の品質活動(2)


ノート:

②QCサークル運動とTQC(TQM)
日本の品質管理運動の革新性は、次の3つである。
 ①デミング賞を創設したこと。
 ②QCの7つ道具、新QCの7つ道具を開発したこと
 ③小集団活動の組織化
従業員は10人ぐらいで小集団を組み、仕事が終わった後で、担当している作業の中で、何が問題か、その原因は何か、解決策は何かについて議論した。その議論にQCの7つ道具を使用した。会社は、このような活動に手当てを出し、そこから出された改善の提案に報奨金を出した。結果的に、これらの経費を上回るコスト削減と品質向上の効果があった。
この成果は、1970年代になって、日本の製造業の国際競争力の向上に繋がった。このような現場の創意工夫が、第一次石油ショック後の石油の高騰、円高に対しても世界の市場で日本が競争力を持ちえたことに貢献した。
これは、アメリカから導入した統計的品質管理が、日本の文化・風土の中で別の形で発展した例である。
この日本の文化・風土とは、①労働者の教育レベルの高さ、②集団主義、③日本の雇用制度(終身雇用制度)、④労使協調などが上げられる。
1970年代に入り、その統計的手法を基礎とした品質管理を、経営全般に取り入れるべく、全社的品質管理として、TQC(TQM)という活動が始められた。企業が各プロセスにおいて品質改善を組織的・継続的に行うことは企業経営にとってきわめて有効であった。