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3-3 異文化間でのビジネス・組織行動能力(1/8)
ノート:
(1) 異文化交流の目線
ビジネスは冷徹な原理で進行しているように見えるものの、基本的にはビジネスに関わる人々の人間関係によって成り立っている。この原理は、同質文化間であろうと、異質文化間であろうと変わらない。ここでは文化を高低コンテキスト文化という切り口で整理し、ビジネスのあり方を認識する。
(2) 高低コンテキスト文化の具体的相違点
高コンテキスト文化とは、固い人間関係で結ばれている社会において、情報は広く共有され、単純なメッセージでも深い意味をもち得るような文化を意味する。こうした文化の中では、言外の意味や意図を推察し、理解するという非常に高度なコミュニケーションが行われている。このような文化の特徴は粘着性が高く、変化に対する抵抗力が強いことである。特定な行動規範が伝統的に確立され、コミュニケーション形式も明確に規定されている。これとは対照的に、個人主義が発達し、個人の疎外・離散が顕著な低コンテキスト文化では、メンバー間で共有される前提が限定されている。このため、コミュニケーションによって、個人は明確なメッセージを構築しなければならない。低コンテキスト文化では、コンテキストに頼らない言語コードを駆使することが期待され、プロジェクトマネジメントにおいても、国際標準で通用する知識体系や理論が早くから整備されている。高低コンテキスト文化に対する認識は、異文化間でコミュニケーションを図る際に大切である。相手を単に異文化として考えて短絡的に行動するのではなく、コンテキスト度の高低の相違を認識し、時間をかけてギャップを埋めていく努力が必要である。