(8) 高コンテキスト文化間のアプローチ
高コンテキスト文化国間の交流の場合、異文化交流がさらに複雑になる。双方とも自国内で高コンテキスト文化的なコミュニケーションを行っており、コンテキストが異なるコミュニケーションには慣れていない。相手のコンテキストを理解することは困難であるから、グローバルなコミュニケーションとして、低コンテキスト文化型コミュニケーションの手法を採用することになる。
(9) 高低コンテキスト文化のハイブリッド化
異文化コミュニケーションにおいて低コンテキストコミュニケーションの手法を取り入れて、各国との交流を図ることは望ましいが、これだけでは日本人としてのよさや、優位性が失われてしまう。高コンテキスト文化における企業活動が「グリーンエリア」や「場」の存在によって、成果を収めてきた事実がある。また、これまでのプロジェクトマネジメントにおいても、活動は多分に暗黙知的、アナログ的、以心伝心と濃密な人間関係に依存している要素が大きい。一方、低コンテキスト文化における企業活動は、業務を実施するにはマニュアル化が必要な社会であり、言葉の定義と契約、言葉による指示、意見交換などが必要な社会である。それによって、業務遂行目的が明確化し、一種のリスクマネジメント的な発想で、“転ばぬ先の杖”を準備した人間関係が成立している。双方学ぶべき面があるので、コミュニケーションと異文化との関わりを正しく理解し、デジタル的な手法にアナログ的手法を加え、高低コンテキスト文化のハイブリッド化実現が今後の目指すべき方向と考えられる。