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3-3 異文化間でのビジネス・組織行動能力(4/7)


ノート:

(4) 高コンテキスト文化における経営組織の構造と機能
⒜ 組織運営の構造と「グリーンエリア」の存在
終身雇用、転職を経ないで同一社内で定期的に異動する遅々とした昇進、その2つのシステムが可能とする長期的な人材育成、命令や責任権限の曖昧さがもたらす包括的で柔軟な管理スタイル、効率性を下げてまでも全員のコンセンサスを重視する集団主義意思決定(オーウチ:セオリーZ)方式がとられてきた。
⒝ グリーンエリアの機能
業務の範囲、内容に関して、高コンテキスト文化では明確な職務記述書(ジョブディスクリプション)による指示は行われない。高コンテキスト文化における企業の運営は、従業員に大まかな範囲を示すが細かい指示を出さず、考えさせて業務をさせることが効果的であると、経験的に把握して実行している。
⒞ グリーンエリアの発生理由と機能
高コンテキスト文化では、集団生活の重要性を生活感覚として受け入れている。集団のもつ文化を受け入れることによって、集団の一員として認められる社会である。そして、集団の一員は共通の背景を理解し、マニュアルなしでも互いに信頼できる行動をとり、多くを語らず理解しあえる関係である。集団内の関係は、性善説によって成り立っている。
⒟ アナログ的発想
高コンテキスト文化の国民は、発想がアナログ的である。アナログ的とは、取り巻く環境のあらゆる面を考察し、バランス感覚のよい発想や判断が重視されることであり、ビジュアルでわかりやすい解説と説得方法が好まれる。同時に、多くの情報量をまとめて、バランスよく説明するにはアナログが望ましく、
デジタルは伝達・蓄積に効果的であり、低コンテキストコミュニケーションには向いているがバランス感覚的発想には不向きである。
⒠ 集団(グリーンエリア)内の行動原理
活力のある集団は、グリーンエリアという共有する目的・課題をもち合わせており、社員同士は命令がなくても自主的に行動することが多いが、全体のバランスを崩すことが少ない。また、グリーンエリアは、集団メンバー全員に考えるための場を与え、行動させるため、トップダウンやジョブディスクリプションで指示された業務内容以上の業務遂行が達成され、効率が高いという特徴がある。
⒡ グリーンエリア内のマネジメント能力
集団に所属する個人が周辺状況を理解していると、集団として効率的な活動が行われやすい。このことは個人のマネジメント能力が高いことを意味している。個人が与えられた役割の範囲を超えて全体を理解し、集団のおかれている現況と自己とのバランスを判断できれば、集団にとって最適な個人活動を行うことができる。