(演習)良いユーザインタフェースとは/保守期間と情報処理システム
概要
- 日程: Day 2 / セッション8
- 時間: 14:30-15:10
- 形式: 演習
- ゴール: 良いUIの条件を3つ挙げ、開発テーマのシステムに必要な保守期間(1年/5年/10年以上)を根拠つきで選べる
- 学習形式: AIディスカッション
導入(5分)
🗣️ 要約
良いUIには共通する条件があり、チームで言語化する システムの想定使用期間(1年〜10年以上)によって、UIも情報アーキテクチャも作り方が変わる 保守期間を曖昧にしたまま実装に入ると、後から作り直しになりやすい
前のセッションでは、UIの種類(CUI/CLI/GUI)やWebブラウザの技術、購買行動モデルを学びました。知識としてのUIは頭に入りましたね。
ここで少し考えてみてください。あなたが最近「使いやすい」と感じたアプリやWebサイトはありますか?逆に「使いにくい」と感じたものは?
実は、良いUIには共通する条件があります。このセッションでは、その条件をチームで言語化します。さらに、開発テーマのシステムが「1年で使い捨てるのか」「10年以上使い続けるのか」によって、UIも情報アーキテクチャも作り方が変わってくることを体験します。
なぜこれを学ぶのか。開発テーマを実装するDay4に向けて、「誰にとって・どれくらいの期間使われるUIなのか」を先に決めておく必要があるからです。ここを曖昧にしたまま実装に入ると、後から作り直しになりがちです。
本編(20-40分)
🗣️ 要約
良いUIとは「利用者が迷わず、目的を達成できる入出力の仕組み」 良いUIの条件は一貫性・フィードバック・誤り耐性など 情報処理システムの保守期間(1年/5年/10年以上)によって、UIと情報モデルの作り込み方が変わる
1. 良いユーザインタフェースとは
🗣️ 要約
良いUIとは「利用者が迷わず、目的を達成できる入出力の仕組み」(例:券売機) 良いUIの条件は一貫性・フィードバック・誤り耐性 ボタンの位置や操作結果が分からないUIは、利用者に推測を強いるため該当しない
良いUIを一言で言うと「利用者が迷わず、目的を達成できる入出力の仕組み」です。
たとえば、券売機は良いUIの例です。行き先のボタンを押す→金額を入れる→切符が出る、という手順が誰の目にも明らかだからです。一方、ボタンがどこにあるか分からない、押した結果が何も表示されない券売機は該当しません。なぜなら、利用者が「次に何をすればいいか」を推測しなければならないからです。
良いUIの条件は、たとえば次のようなものが挙げられます。
- 一貫性(同じ操作は同じ結果になる)
- フィードバック(操作した結果がすぐ分かる)
- 誤り耐性(間違えてもすぐ元に戻せる)
ここまでで、良いUIのイメージは掴めましたか?次は、このUIをどれくらいの期間使い続けるかによって、設計の重みづけが変わってくる話をします。
2. 保守期間と情報処理システム
🗣️ 要約
情報処理システムの保守期間は「1年」「5年」「10年以上」に大別できる 1年程度ならUIは最小限・スピード優先、5年程度なら一貫性・保守性に投資、10年以上なら情報モデルの拡張性を重視する 保守期間の考え方は建物の設計(仮設イベント会場か100年住む家か)に似ている
情報処理システムには、想定される保守期間があります。おおよそ「1年」「5年」「10年以上」に分けて考えることができます。
これは、いわば建物の設計に似ています。仮設のイベント会場と、100年住み続ける家では、使う材料も基礎工事のかけ方もまったく違いますよね。情報システムも同じで、1年だけ使う社内ツールと、10年以上使う基幹システムとでは、UIの作り込み方も、情報モデルの柔軟性も変えるべきです。
- 1年程度の想定であれば、UIは最小限で作り、スピード優先でよい場合が多い
- 5年程度の想定であれば、UIの一貫性やメンテナンス性にもある程度投資すべき
- 10年以上の想定であれば、ペルソナや情報モデルが将来変化することを見込んで、拡張しやすい設計にしておく必要がある
なぜ保守期間を最初に決めるのでしょうか。少し考えてみてください。もし決めずに作り始めると、どんなことが起きるでしょうか。
コード例・実例
保守期間による設計判断の違いをフローで示すと、次のようになります。
ここがポイント
特に注意してほしいのは、保守期間の選択に「絶対の正解」はないという点です。よくある間違いとして「なんとなく長く使えそうだから10年」と選んでしまうケースがありますが、正しくは、ペルソナが何年その情報を必要としているか、開発テーマの性質(流行り廃りがあるか、法制度に紐づくか等)から根拠を持って決めることです。
コラム
家電製品には「補修用性能部品の保有期間」という考え方があり、メーカーは製品を作った後も、一定年数は修理用の部品を保管する義務のようなルールを設けています。情報システムの世界にはこうした明文化されたルールは少ないのですが、「作って終わり」ではなく「何年面倒を見るか」を最初に決めておくという発想は、家電の世界からも学べることです。
💬 AIに聞いてみよう
🗣️ 要約
良いUIの具体的な業界例、保守期間による情報モデルの作り方の違い、自分たちの開発テーマに適した保守期間などをAIに質問できる
ここまでの内容で疑問があれば、AIに質問してみましょう。たとえば:
- 「良いUIの条件をもっと具体的な業界の例で教えて」
- 「保守期間が長いシステムと短いシステムで、情報モデルの作り方はどう変わるの?」
- 「自分たちの開発テーマ(〇〇)なら、保守期間は何年くらいが妥当?」
実習・演習
🗣️ 要約
良いUIの条件を3つ以上挙げ、開発テーマの保守期間を根拠つきで1つ選ぶ演習
課題
🗣️ 要約
良いUIの条件をディスカッションで3つ以上挙げる 開発テーマの保守期間(1年/5年/10年以上)を1つ選び、根拠を2つ以上挙げる
- 良いユーザインタフェースとは何か、チームでディスカッションし、条件を3つ以上挙げる
- 開発テーマのシステムについて、保守期間(1年/5年/10年以上)を1つ選び、その根拠を2つ以上挙げる
成果物
🗣️ 要約
「良いUIの条件」リスト(3つ以上)と「保守期間とその根拠」メモ
- 「良いUIの条件」リスト(3つ以上)
- 「保守期間とその根拠」メモ
ヒント
🗣️ 要約
意見がまとまらないときは、各自の「使いやすいアプリ」の共通点から探すとやりやすい 保守期間の根拠に迷ったら、ペルソナがこのシステムを何年使いたいかをAIに相談するとよい
- 意見がまとまらない場合は、まず一人ひとりが「使いやすいと思うアプリ」を1つ挙げてから、共通点を探すとやりやすくなります
- 保守期間の根拠に迷ったら、「Day1で定義したペルソナは、このシステムを何年使い続けたいと思うか」をAIに相談してみましょう
まとめ(5分)
🗣️ 要約
UIの良し悪しもシステムの寿命も、ペルソナと開発テーマの性質から逆算して決める 次回は保守期間の考え方を踏まえてモックアップツールで試作品を作る
今回学んだことを一言でまとめると「UIの良し悪しも、システムの寿命も、ペルソナと開発テーマの性質から逆算して決めるもの」です。
次回は、この保守期間の考え方を踏まえて、モックアップツールで実際に触れる試作品を作ります。今回決めた保守期間の長さが、試作品の作り込みの粒度にも関わってくるので、しっかり覚えておきましょう。
🔄 振り返りチェック
🗣️ 要約
良いUIの条件を3つ挙げられるか 保守期間が10年以上の場合と1年の場合で重視すべき点の違いを説明できるか
以下の問いに答えられるか確認してみましょう:
- 良いUIの条件を3つ挙げられますか?
- 保守期間が10年以上の場合、1年の場合と比べて何を重視すべきか説明できますか?
答えに自信がない場合は、該当部分を読み返すか、AIに質問してみてください。
補足資料
🗣️ 要約
参考リンクはなく、社内の開発テーマ資料・議論メモを参照する 発展課題は、普段使っているアプリの想定保守期間を推測すること
- 参考リンク: なし(社内の開発テーマ資料・チームの議論メモを参照)
- 発展課題: 自分たちが普段使っているアプリを1つ選び、想定される保守期間を推測してみる
学習ガイド
🗣️ 要約
受講者からよく出る質問への回答例と、つまずきやすいポイントへの対処法をまとめている
このセクションは、受講者が理解を深めることをサポートする参考情報です。
想定される質問と回答例
🗣️ 要約
良いUIの条件は業界により上乗せされる部分があるが、一貫性・フィードバック・誤り耐性は共通の土台 保守期間は多数決ではなく、ペルソナの利用シーンや開発テーマの性質から根拠を導く
| 質問 | ヒント |
|---|---|
| 良いUIの条件が業界やアプリの種類によって違う気がする | その通り。共通条件(一貫性・フィードバック・誤り耐性)は土台としつつ、業界特有の条件(例:医療系なら誤操作防止を最優先)が上乗せされると説明する |
| 保守期間はチームの多数決で決めていいの? | 多数決ではなく、ペルソナの利用シーンや開発テーマの性質(法制度・流行)から根拠を導くよう促す |
つまずきやすいポイント
🗣️ 要約
良いUIの条件が「見た目」など主観的な話に終始しやすい 保守期間の根拠が「なんとなく」で終わりやすい
| つまずきポイント | ヒント |
|---|---|
| 良いUIの条件が「見た目がかっこいい」など主観的な話に終始してしまう | 「操作の分かりやすさ」「結果の分かりやすさ」など、機能面の条件に焦点を戻すよう声かけする |
| 保守期間の根拠が「なんとなく」で終わってしまう | 「もし1年後にサービスを終了するとしたら、何が困るか」を逆算して考えさせる |