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4-3 原価概念の基礎体系 (1)


ノート:

原価管理(総論1)
①製造業を中心に展開されたコストマネジメント手法
ここから話す原価管理は、そのまま説明したのではおそらく「何を言っているんだろう」という印象になるだろう。それはなぜかというと、このコストマネジメント手法は製造業を中心に展開されたものであり、工場で製造している物品のコストを下げることによって、より利益を得ようという活動だからである。どちらかというとプロジェクトではなく、ルーチンワークに対して作業効率や材料の工夫によって原価を下げることを考えている。
ではなぜP2Mの中で取り上げるのか。
P2Mはプロジェクトマネジメントを大きな軸としているが、実はその目的はガイドブックの副題に現れている。
For Enterprise Innovationとあるように、プロジェクトマネジメントをうまくやってプロジェクトを成功させることも重要であり、そのための考え方や手法を載せているが、それらは最終的に企業の改革、改善につながり強い競争力を持った企業へと変革するための考え方、ガイドブックである。そのような立場にたって考えてみる、つまり企業を運営する立場から競争力をつけるために何をすべきかを考えると、プロジェクトをいかに効率的に進めるかがポイントになる。ひとつの企業の中で遂行されるプロジェクトは、毎回毎回まったく新しいものというわけではなく、むしろ同じようなタイプのプロジェクトが、少しずつ内容や環境を変えながら繰り返し遂行されていると考えられるだろう。とすれば、当然同じような作業が繰り返される部分があるわけで、そのようなものに対してはいかに効率的に、速く、安く遂行するかを考えることになる。
ひとつのプロジェクトだけを見ていたのではしっくりこないかもしれないが、企業全体から見た場合には充分に役に立つ手法である。しかしながらこれまではプロジェクトは一回限りであることばかりが協調され、原価管理のように企業の体質改善、競争力強化のような観点からプロジェクトに対峙することはあまりなかった。
よってP2Mでは、残念ながらまだプロジェクトマネジメントの言葉に完全には移行できてはいないが、重要なコンセプト、手法のひとつとして原価管理を紹介している。
講義の中では、その考え方と、用語について理解をしてもらいたい。
この原価管理は3つのプロセスからなる。
原価企画、原価維持、原価改善であり、それぞれについてこれから説明する。
なおVEという言葉については原価企画の詳細説明の段で説明する。