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1-3 ライフサイクルコスティング (2)


ノート:

ライフサイクルコスティングとは何かを理解する。
ライフサイクルコスティングとは、プロジェクトのライフサイクルのマネジメントにコストを使っていくものである。コストという指標を使うと、全体最適化を行いやすい。ライフサイクルコスティングでは、プロジェクトのコストを獲得コストと操業・保守コストで捉え、その双方を見ていく。新製品開発プロジェクトで考えた場合、製品を開発した時点ではなく、その製品を製造し、販売するところまでを考慮することになる。研究開発を行って製品を開発するまでが、通常社内での開発プロジェクトの範囲となるが、その部分だけではなく、実際に物を製造していく時の操業・保守で発生するコストまでも考慮しながら、投資判断を行っていくのがライフサイクルコスティングである。要は、どこからどこまでをプロジェクトとして捉えるかということにかかわってくる。
このライフサイクルコスティングというのは、基本的には物を作って、獲得して、それを販売していくことで、利益、すなわちキャッシュフローが生まれると考えている。いくらで建物が建つのか、施設を獲得できるのかということだけではなく、その後の操業で当然発生するコストを含めて、最適なコスト、最適な投資方法を考える、つまり、プロジェクトのライフサイクル全般にわたってコストの総計を最小化するアプローチということができる。目的は投資意思決定の指標を示すことであり、初期段階でコストを予測し、最小化する指標を得ることである。
テキストの図は典型的なライフサイクルコストの例を表しているが、米国国防総省や通信産業界での調査ではライフサイクル全般に渡るコストを100%とした場合、研究開発費用に10%、施設建設費用に30%、操業・保守費用に60%というデータがある。研究開発と施設建設を合計して施設獲得コストとすると、施設獲得コストと操業・保守費用との比率は、40対60ということになるが、この割合については、概ね50対50というデータもある。
ライフサイクルコストを評価する手法は、概念としてはすばらしく、注目されているが、全ての事象や物事に適用できるほどには研究は成熟していない。特にこの手法は上流ステージで行うことにところに意味があるが、上流では全体のスキームが曖昧なケースが多く、広範囲での適用はなかなか難しい。精度よりも傾向がわかれば利用価値のある、戦略策定などの用途に向いていると言える。また、PFIのプロジェクトでは必須の手法となる。