業務改善の考え方と問題発見・原因分析
概要
- 日程: Day 2 / セッション 05
- 時間: [13:00-13:30]
- 形式: 座学
- ゴール: 業務改善の基本的なアプローチと、問題発見・原因分析の手法(なぜなぜ分析、特性要因図)を説明できる
- 学習形式: 対話型解説
導入(5分)
午後のセッションへようこそ!
午前のセッションでは、KPIを用いた進捗・納期管理の実践を通じて、問題の早期発見と対応策の重要性を学びました。しかし、一時的な対応だけでは根本的な解決にはなりません。常に業務をより良くしていく「業務改善」の視点を持つことが、SVに求められる重要な役割です。
このセッションでは、業務改善の基本的な考え方と、問題の真の原因を特定するための強力なツールである「なぜなぜ分析」や「特性要因図」といった手法について学びます。
本編(20分)
1. 業務改善の考え方
業務改善とは、現状の業務プロセスやルールを見直し、より効率的、効果的、あるいは高品質な状態へと変化させる活動全般を指します。SVは現場の最前線にいるため、業務の「ムダ・ムリ・ムラ」を発見し、改善を提案・実行する上で重要な役割を担います。
業務改善の目的
- 生産性の向上: より少ない時間やリソースで、より多くの成果を生み出す。
- 品質の向上: 提供するサービスや製品の質を高める。
- コスト削減: 無駄な費用をなくし、効率的な運営を実現する。
- 従業員満足度の向上: 業務の負荷を減らし、働きやすい環境を作ることで、オペレーターの満足度を高める。
- 顧客満足度の向上: より良いサービスを提供することで、顧客からの信頼を得る。
業務改善の基本的なアプローチ
- 現状分析: 「今、何が起こっているのか」「なぜうまくいっていないのか」を客観的に把握します。
- 問題発見: 現状分析から、改善すべき「問題点」を明確にします。
- 原因分析: 問題の根本的な原因は何かを深く掘り下げます。
- 対策立案: 原因を取り除くための具体的な改善策を考えます。
- 実行と評価: 改善策を実施し、その効果を測定・評価します。
コラム
業務改善の考え方は、日本の製造業で生まれた「カイゼン(KAIZEN)」が世界的に有名です。「カイゼン」は、小さな改善を継続的に積み重ねていくことで、大きな成果を生み出すという思想です。SVとして、完璧な改善を一度に行おうとするのではなく、まずは「ここを少し変えれば良くなるかも」という小さな気づきから始めることが大切です。
2. 問題発見の手法(現状分析)
業務改善の第一歩は、現状を正しく理解し、問題を発見することです。
問題発見の視点
- ムダ: 必要のない工程、重複作業、待機時間など、付加価値を生み出さない活動。
- ムリ: オペレーターに過度な負担がかかっている状態、非効率な作業配分。
- ムラ: 業務の品質や進捗が担当者や時間帯によって不安定な状態。
これらの視点から、日々の業務を観察し、「何かおかしいな」「もっと良くなるはずだ」という感覚を研ぎ澄ませることが重要です。
現状分析のツール例
- 業務フロー図: 業務の流れを図示し、ボトルネックや無駄な工程を発見する。
- チェックシート: 特定の作業における問題発生状況を定量的に記録する。
- ヒアリング: オペレーターから直接、困っていることや改善提案を聞き取る。
3. 原因分析の手法
問題を発見したら、その根本的な原因を特定することが、効果的な対策を立てる上で不可欠です。表面的な原因ではなく、「なぜ」その問題が起こっているのかを深く掘り下げていきましょう。
なぜなぜ分析
- 定義: 問題に対して「なぜ?」を5回繰り返すことで、真の原因(根本原因)を特定する手法。
- 進め方:
- 問題事象を明確にする。
- 「なぜその問題が起きたのか?」と問い、その答えを出す。
- 出た答えに対して、さらに「なぜそれが起きたのか?」と問いを繰り返す。
- 具体例:
- 問題: データ入力のエラーが多い。
- なぜ1: マニュアルをよく見ていないから。
- なぜ2: マニュアルが分かりにくいから。
- なぜ3: 専門用語が多く、図解が少ないから。
- なぜ4: 専門知識を持つ人が作成したが、オペレーターの目線でレビューされていないから。
- なぜ5: マニュアル作成後にレビューする仕組みがないから。(真の原因)
特性要因図(フィッシュボーン図)
- 定義: 問題(結果)とそれに影響を与える要因(特性)を、魚の骨のような図で整理する手法。品質管理の「4M」(Man:人、Machine:設備、Material:材料、Method:方法)などの視点から要因を網羅的に洗い出すことができます。
- 活用例:
- 中心線: 問題事象(例:データ入力のエラーが多い)
- 大骨: 主要な要因(例:人、方法、設備、環境、情報など)
- 中骨・小骨: 大骨のさらに具体的な要因を書き出す。
Mermaid記法での図解:特性要因図の例
このように要因を整理することで、問題の全体像を把握し、議論の漏れを防ぐことができます。
ここがポイント
原因分析は、犯人探しではありません。真の原因を特定し、再発防止や業務改善に繋げることが目的です。客観的な視点を持ち、AIをディスカッションパートナーとして活用することで、より深く本質的な原因にたどり着くことができるでしょう。
💬 AIに聞いてみよう
ここまでの内容で疑問があれば、AIに質問してみましょう。たとえば:
- 「業務改善の『ムダ・ムリ・ムラ』について、データエントリー業務での具体的な例を教えて」
- 「なぜなぜ分析を行う際の注意点は?」
- 「特性要因図の4M以外の視点にはどんなものがある?」
まとめ(5分)
このセッションでは、業務改善の基本的な考え方と、問題の真の原因を特定するための「なぜなぜ分析」や「特性要因図」といった強力な手法を学びました。SVとして、日々の業務の中から「ムダ・ムリ・ムラ」を発見し、その根本原因を深く掘り下げていく視点を持つことが、チームの継続的な成長と効率化に繋がります。次のセッションでは、これらの原因分析の結果をもとに、具体的な改善策を立案する演習を行います。
🔄 振り返りチェック
以下の問いに答えられるか確認してみましょう:
- 業務改善の目的を3つ以上挙げ、説明できますか?
- 「ムダ・ムリ・ムラ」の視点から、あなたの職場で改善すべき点を一つ挙げ、説明できますか?
- 「なぜなぜ分析」の進め方について、具体例を挙げて説明できますか?
答えに自信がない場合は、該当部分を読み返すか、AIに質問してみてください。
補足資料
- 参考リンク:
- トヨタ生産方式(TPS)関連書籍
- 発展課題: あなたの身近な業務で発生している小さな問題について、「なぜなぜ分析」の考え方で原因を深掘りしてみましょう。AIがあなたの分析をサポートします。
学習ガイド
想定される質問と回答例
| 質問 | ヒント |
|---|---|
| なぜなぜ分析で、毎回「なぜ」と問うのが難しいです。 | 問い方を「〇〇が起きたのは、何が原因だろう?」「その原因は、さらに何を誘発するだろう?」など、少し変えてみても良いでしょう。AIに「なぜなぜ分析の問いかけ方のバリエーション」を質問してみましょう。 |
| 特性要因図の各要因(大骨)に何を書き出せば良いか分かりません。 | まずは思いつくままに書き出し、後から整理・分類しても問題ありません。「人」「方法」「設備」「材料」「情報」「環境」などの視点から考えてみましょう。AIに「特性要因図の要因洗い出しのコツ」を質問してみましょう。 |
つまずきやすいポイント
| つまずきポイント | ヒント |
|---|---|
| 問題解決が、対症療法で終わってしまう | 根本原因にたどり着かないと、同じ問題が再発します。表面的な現象に惑わされず、粘り強く「なぜ?」を繰り返しましょう。AIに「根本原因と対症療法の違い」を質問してみましょう。 |
| 分析ばかりに時間をかけすぎて、行動に移せない | 原因分析は重要ですが、完璧を目指しすぎると時間がかかかります。ある程度のところで区切りをつけ、まずは「試せる改善策」を立案し、小さく始めてみましょう。AIに「分析と実行のバランスの取り方」を質問してみましょう。 |