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全体KPT〜社会人基礎力の振り返り

概要

  • 日程: Day 22 / セッション 2
  • 時間: [10:15-11:00]
  • 形式: 演習
  • ゴール: 「社会人基礎力を身につけられたか」「チーム開発を経験できたか」の観点で研修全体をKPT形式で振り返り、今後の行動目標を1つ以上決められる
  • 学習形式: グループワーク、AIディスカッション

導入(5分)

前のセッションでは「製品」を振り返りました。今度は「自分自身」を振り返ります。

この研修の目的を覚えていますか? Day 1 の最初に共有しました。「課題解決型学習を通して社会人基礎力を身につける」です。製品づくりは、いわば筋トレの器具。鍛えたかったのは、製品そのものではなく、あなた自身の力です。

ここで少し考えてみてください。Day 1 の朝、初対面のメンバーと「チーム名」を決めたときの自分を思い出してください。あのときの自分と今日の自分、何が変わったでしょうか?

「変わった気がするけど、言葉にできない」——それが普通です。だからこそKPTという道具を使って、変化を言葉にします。言葉にできた成長だけが、次の職場に持っていけます。

本編(10分)

1. 全体KPT〜2つの問いと「Day 1 の自分」という物差し

全体KPTは、前セッションと同じKeep/Problem/Tryの形式で、対象を「製品」から「研修全体の自分とチーム」に変えたものです。問いは2つです。

  • 社会人基礎力を身につけられたか
  • チーム開発を経験できたか

社会人基礎力とは、経済産業省が提唱する「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」で、3つの能力に整理されています。

  • 前に踏み出す力: 主体性・働きかけ力・実行力。指示待ちにならず一歩踏み出す力
  • 考え抜く力: 課題発見力・計画力・創造力。疑問を持ち、考え抜く力
  • チームで働く力: 発信力・傾聴力・柔軟性・状況把握力・規律性・ストレスコントロール力

健康診断に例えると、これらは「測定項目」です。「健康になった気がする」ではなく「体重が3kg減った」と項目ごとに見るから変化が分かります。振り返りも同じで、「成長した気がする」ではなく項目ごとに具体的な場面で確認します。

具体例で対比しましょう。「積極的になれた(Keep)」は全体KPTとして弱い書き方です。なぜなら、場面がなく再現できないからです。一方「中間発表で他チームに自分から質問できた。質問を事前にメモする準備が効いたので続けたい(Keep)」は良い書き方です。場面・行動・続け方がそろっています。

このとき効く物差しが「Day 1 の自分」です。たとえば、こんな比較ができます。

  • Day 1: AIへの質問が「教えてください」だけだった → Day 17: エラー全文と試したことを添えて相談できるようになった
  • Day 2: ブレストで発言をためらった → Day 14: 中間発表で他チームに改善提案ができた

ここがポイント

  • 全体KPTの主語は「製品」ではなく「自分・チーム」。前セッションとの違いを意識する
  • 「〜力がついた」だけでは書いたことにならない。「いつ・どの場面で・何をしたか」をセットにする
  • よくある間違いは、Tryを研修内の話で閉じること。全体KPTのTryは「配属後の行動目標」として書く

コラム

「社会人基礎力」は2006年に経済産業省が定義したものですが、当時の議論では「基礎学力や専門知識があっても、職場で活躍できない人がいるのはなぜか」が出発点でした。面白いのは、12の能力要素の中に「ストレスコントロール力」が入っていることです。役所の定義に「ストレスとの付き合い方」が正式採用されているのは、それだけ現場で重要だという証拠です。実装スプリント中、エラーが解決せずに深呼吸したあの瞬間も、立派に社会人基礎力を鍛えていたわけです。

2. 成果発表会の感想と、感謝を言葉にする

全体KPTの材料として、成果発表会の感想も言葉にします。

  • 発表してみてどうだったか(準備したことは活きたか、想定外は何だったか)
  • 他チームの発表から何を学んだか
  • ライトニングトークで自分は何を伝えられたか

そして最後に、チームメンバーへの感謝を言葉にします。「話す&行う」——心の中で思っているだけでは伝わりません。照れくさいですが、これも仕事の技術です。

具体例で対比します。「みんなありがとう」は感謝の言葉として弱い。誰の何に対する感謝か分からないからです。「実装が遅れたとき、Bさんがタスクを巻き取ってくれて、しかもやり方を教えてくれた。助かった」は良い感謝です。具体的な行動を挙げているので、言われた側は「自分のどの行動が価値だったか」を知ることができます。つまり、具体的な感謝は相手へのフィードバックでもあるのです。

ここがポイント

  • 感想は「楽しかった」で終わらせない。「何が・なぜ」まで言葉にする
  • 感謝は「誰の・どの行動に」を具体的に。それが相手の成長材料にもなる
  • 行動目標は1つ以上、「配属後の最初の1か月でできること」の粒度にする

コラム

NASAのミッション終了後の振り返り「デブリーフィング」では、成功したミッションでも必ず全員が改善点と良かった点を発言するルールがあります。理由は「黙っている人の頭の中にある教訓は、組織に残らないから」。22日間の経験も同じです。今日言葉にしなかった学びは、来週には驚くほどきれいに消えます。脳は優秀な掃除屋なので、「言葉にしたものだけが残る」と思って振り返りましょう。

💬 AIに聞いてみよう

ここまでの内容で疑問があれば、AIに質問してみましょう。たとえば:

  • 「社会人基礎力の12の能力要素をすべて教えて。私の研修での行動がどれに当たるか整理したい」
  • 「Day 1 から今日までの私の変化を引き出す質問を5つ投げかけて」(AIインタビュー形式で振り返る)
  • 「この行動目標は具体的? 配属後1か月で実行できる形に直すには?」

実習・演習

課題

チームで以下を行ってください(合計35分目安)。

  1. 個人KPTの書き出し(10分): 「社会人基礎力を身につけられたか」「チーム開発を経験できたか」の2つの問いについて、個人でKeep・Problem・Tryを書き出す。Day 1 の自分との比較を最低1つ含める。AIに質問役を頼んで引き出してもらってもよい
  2. チームで共有し全体KPTに統合(15分): 各自のKPTを発表し、チームの全体KPTとして1枚にまとめる。成果発表会の感想もここで共有する
  3. 行動目標の決定(5分): 配属後に実行する行動目標を1人1つ以上決め、全体KPTのTry欄に名前つきで書く
  4. 感謝のひとこと(5分): チームメンバー1人ひとりに「誰の・どの行動に助けられたか」を具体的に伝える(話す&行う)

成果物

  • 「全体KPT」(チーム1枚。個人の行動目標を名前つきで含む)
  • 成果発表会の感想メモ

ヒント

  • 自分の変化が思い出せないときは、Day 1 のチーム計画書や序盤の成果物を開いてみましょう。当時の粗さが、そのまま成長の証拠です
  • AIに「新入社員研修の振り返りインタビュアーになって。1問ずつ質問して」と頼むと、1人でも深掘りできます
  • 行動目標が「頑張る」系になったら、「最初の1か月で・どの場面で・何をするか」に変換しましょう。例:「配属先の朝会で、困っていることを週1回は自分から共有する」

まとめ(5分)

今回学んだことを一言でまとめると「成長は、言葉にして初めて持ち帰れる」です。

  • 全体KPTは「社会人基礎力」「チーム開発の経験」を問いにした自分自身の振り返り
  • Day 1 の自分という物差しで、場面つきで変化を言葉にする
  • Tryは配属後の行動目標として書き、感謝は具体的な行動に向けて伝える

次のセッションでは、確認テストで22日間の学習内容の定着を確認します。AIを使わず、自力で現在地を測ります。

🔄 振り返りチェック

以下の問いに答えられるか確認してみましょう:

  • 社会人基礎力の3つの能力は何ですか?
  • 企画・製品のKPT(前セッション)と全体KPT(今セッション)では、振り返る対象がどう違いますか?
  • 良い行動目標の条件は何ですか?

答えに自信がない場合は、該当部分を読み返すか、AIに質問してみてください。

補足資料

  • 参考リンク: 経済産業省「社会人基礎力」のページを「社会人基礎力 経済産業省」で検索
  • 発展課題: 今日決めた行動目標を手帳やタスク管理ツールに転記し、1か月後に見返すリマインダーを設定してみましょう

学習ガイド

このセクションは、受講者が理解を深めることをサポートする参考情報です。

想定される質問と回答例

質問 ヒント
自分は成長していない気がする 成長の実感と事実は別物。Day 1 の成果物と最近の成果物を並べて見比べると、事実としての変化が見える
Problemに「自分の力不足」と書いてよいか 力不足のままでは行動に変換できない。「どの場面で・何ができなかったか」まで分解すると、Tryが作れる
行動目標は研修の延長でよいか 配属後の文脈に置き換える。研修の「終会で困りごとを共有」は、配属後は「週次報告で課題を先に書く」などに翻訳できる

つまずきやすいポイント

つまずきポイント ヒント
個人KPTが出ない AIにインタビュアー役を依頼する。「楽しかった瞬間」「困った瞬間」から聞いてもらうと出やすい
感謝の言葉が照れくさくて雑になる 形式を決めると言いやすい。「○○のとき、△△してくれて助かった」の型に当てはめる
チーム統合で個人の意見が消える 全員のTryを残す。統合するのはKeep/Problemの重複だけにする
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