📖 テーマ設定
🔊 音声設定
1.2
1.0
1.0
▶️ 再生コントロール
🎵 BGM設定
0.3
🔔 効果音設定
0.3

企画・製品のKPTとペルソナのアップデート

概要

  • 日程: Day 22 / セッション 1
  • 時間: [9:30-10:15]
  • 形式: 演習
  • ゴール: 企画・製品の課題を洗い出し、KPT(Keep/Problem/Try)形式でまとめ、今後の開発方針としてペルソナをアップデートできる
  • 学習形式: グループワーク(AIサポートあり)

導入(5分)

成果発表会、お疲れさまでした。22日間の最終日です。

今日のテーマは「振り返り」です。ここで少し考えてみてください。プロジェクトは発表が終わったら「おしまい」でしょうか?

実務では違います。リリースは「終わり」ではなく「次の改善の始まり」です。発表会でもらった質問や講評は、お金を払っても手に入らない貴重なフィードバックです。これを放置するのはもったいない。

このセッションでは、次の2つの問いで企画・製品を振り返ります。

  • 企画を実際に形にすることができたか
  • ユーザ・お客様に製品をアピールすることができたか

そして「もし続きを開発するなら」という視点で、ペルソナをアップデートします。Day 3 で作ったペルソナを覚えていますか? あの人物像は、22日間を経た今のあなたたちの目にはどう見えるでしょうか。

本編(10分)

1. KPTとは〜振り返りを「次の行動」に変えるフレームワーク

KPTは、振り返りを3つの箱に整理するフレームワークです。

  • Keep: 良かったこと。今後も続けること
  • Problem: 問題だったこと。うまくいかなかったこと
  • Try: 次に試すこと。具体的な改善アクション

部活の試合後ミーティングに例えると分かりやすいです。「守備の連携は良かった(Keep)」「終盤に集中力が切れた(Problem)」「次の練習から終盤を想定した紅白戦を入れる(Try)」。感想会ではなく、次の行動を決める会議です。

具体例で確認しましょう。企画・製品のKPTなら、こうなります。

区分 良い例
Keep ペルソナの「通勤中に使う」という設定が、画面設計の判断基準としてずっと機能した
Problem 検索機能の実装に想定の3倍の時間がかかり、お気に入り機能を削った
Try 次は技術的に未経験の機能を先に小さく試作してから工数を見積もる

一方、こういう書き方はKPTとして機能しません。「みんな頑張った」はKeepに該当しません。なぜなら、何を続ければよいのか分からないからです。「もっと頑張る」もTryに該当しません。行動が具体的でないため、次のプロジェクトで実行できないからです。「良かった/悪かった」という感想ではなく、「続けること/やめること/試すこと」という行動で書くのがコツです。

ここで少し考えてみてください。ProblemとTryはどんな関係にあるべきでしょうか? 答えは「対応関係」です。Problemに挙げた問題には、対応するTryがあるのが理想です。

flowchart LR K["Keep
良かったこと"] --> N["次の開発方針"] P["Problem
問題だったこと"] --|改善策を考える|--> T["Try
次に試すこと"] T --> N

ここがポイント

  • KPTは感想文ではなく「行動の仕分け」。Keep・Tryは次のプロジェクトで実行できる粒度で書く
  • Problemは「人」を責めない。「Aさんが遅かった」ではなく「タスクの依存関係を共有できていなかった」と仕組みの問題として書く
  • よくある間違いは、Problemだけ大量に出してTryが空になること。Problemを1つ書いたら対応するTryを考える

コラム

KPTはアジャイル開発の振り返り(レトロスペクティブ)の定番手法で、ソフトウェア技術者Alistair Cockburn(アリスター・コーバーン)の振り返りフレームワークが起源とされ、日本のアジャイルコミュニティで広く普及しました。海外では「KPT」より「Start / Stop / Continue」という呼び名の方が通じることもあります。中身はほぼ同じで、「始めること・やめること・続けること」。世界中のチームが「振り返りは感想ではなく行動で締める」という同じ結論にたどり着いているのが面白いところです。

2. 企画・製品のKPTとペルソナのアップデート

今回のKPTは、次の2つの問いを軸に行います。

  • 企画を形にできたか: 企画段階で描いた価値は、製品として実現できたか。削った機能は何か、それはなぜか
  • 製品をアピールできたか: 発表で製品の価値(誰の・何が・どう変わる)は伝わったか。質疑で答えられなかった質問は何か

材料は、昨日の発表会の質疑応答メモと講評です。たとえば「そのペルソナは本当にこの機能を使いますか?」という質問をもらったなら、それは企画と製品のズレを示すヒントです。

KPTが出そろったら、ペルソナのアップデートに進みます。「もし続きを開発するなら」という視点で、Day 3 のペルソナを見直します。

  • 発表会の反応から、想定ユーザ像で変わった部分はないか(年齢層、利用シーン、価値観)
  • 開発を通じて分かった「ペルソナが本当に困っていること」は、最初の設定と同じか
  • 属性の追加・修正・削除を行い、変更理由を一言添える

ペルソナを「30代会社員」のような曖昧な像に戻してしまうのは、アップデートに該当しません。なぜなら、判断基準としての解像度が下がるからです。逆に「質疑で『高齢の家族も使うのでは』と指摘されたので、ペルソナの家族構成に同居の母を追加した」は良いアップデートです。根拠があり、解像度が上がっています。

ここがポイント

  • 発表会の質疑・講評を必ず材料にする。記憶が新しい今日やることに意味がある
  • ペルソナの変更には必ず「根拠(どのフィードバックから来たか)」を添える
  • よくある間違いは、ペルソナを全部作り直すこと。実際の開発では、検証で得た事実の分だけ少しずつ更新する

コラム

ペルソナ手法の生みの親であるAlan Cooper(アラン・クーパー)は、もともとプログラマでした。自分が作った業務ソフトのユーザにインタビューした人物像を頭の中で「演じながら」運転していたら設計が一気に進んだ、という体験がペルソナの原点だと語っています。つまりペルソナは最初から「更新される前提」の道具でした。一度作って飾っておく肖像画ではなく、開発のたびに描き直すスケッチ。今日のアップデートは、ペルソナ本来の使い方なのです。

💬 AIに聞いてみよう

ここまでの内容で疑問があれば、AIに質問してみましょう。たとえば:

  • 「KPTのTryが思いつかない。このProblemに対する改善案を3つ提案して」
  • 「KPTとYWT(やったこと・わかったこと・次にやること)の違いは何?」
  • 「このペルソナのアップデート案は妥当? 根拠が弱い箇所を指摘して」

実習・演習

課題

チームで以下を行ってください(合計35分目安)。

  1. 材料集め(5分): 発表会の質疑応答メモ・講評・他チームからのコメントを付箋やドキュメントに書き出す
  2. 企画・製品のKPT作成(20分):
    • 「企画を形にできたか」「製品をアピールできたか」の2つの問いに沿って、Keep・Problem・Tryを各3件以上挙げる
    • ProblemとTryの対応関係を線でつなぐか、番号で対応づける
    • AIにKPTを見せて「Tryが具体的な行動になっているか」をレビューしてもらう
  3. ペルソナのアップデート(10分):
    • Day 3 のペルソナを開き、フィードバックに基づいて属性を追加・修正・削除する
    • 各変更に「変更理由」を一言添える
    • 「今後どういう方向で開発を進めるべきか」を1〜2文でまとめる

成果物

  • 「企画・製品のKPT」(Keep・Problem・Try 各3件以上、ProblemとTryの対応つき)
  • アップデート版ペルソナ(変更理由つき)と今後の開発方針メモ

ヒント

  • KPTが出ないときは、AIに「私たちの製品は〜です。発表会で〜という質問を受けました。ここからProblemを抽出して」と材料を渡すと観点が広がります
  • Tryが「気をつける」「意識する」になったら要注意。「いつ・何をするか」まで具体化しましょう
  • ペルソナの更新箇所に迷ったら、AIにアップデート前のペルソナを演じてもらい、「発表会で指摘された利用シーン」を質問してみると、設定の矛盾が見つかります

まとめ(5分)

今回学んだことを一言でまとめると「振り返りは感想ではなく、KPTで次の行動に変換する」です。

  • KPTはKeep(続ける)・Problem(問題)・Try(試す)の3つの箱
  • ProblemとTryは対応させる。人ではなく仕組みの問題として書く
  • ペルソナは発表会のフィードバックを根拠にアップデートする

次のセッションでは、視点を製品から自分自身に移し、「社会人基礎力を身につけられたか」を全体KPTで振り返ります。

🔄 振り返りチェック

以下の問いに答えられるか確認してみましょう:

  • KPTのK・P・Tはそれぞれ何を書く欄ですか?
  • 「もっと頑張る」がTryとして不適切なのはなぜですか?
  • ペルソナのアップデートで、各変更に必ず添えるべきものは何ですか?

答えに自信がない場合は、該当部分を読み返すか、AIに質問してみてください。

補足資料

  • 参考リンク: アジャイルレトロスペクティブ(振り返り手法)の解説記事を「KPT 振り返り やり方」で検索
  • 発展課題: 今回のKPTのTryを1つ選び、「次のプロジェクトの何日目に実行するか」まで計画に落としてみましょう

学習ガイド

このセクションは、受講者が理解を深めることをサポートする参考情報です。

想定される質問と回答例

質問 ヒント
KeepとTryの区別がつかない Keepは「すでにやっていて続けること」、Tryは「まだやっていなくて新しく試すこと」。実績の有無で分ける
Problemがチームメンバー批判になってしまう 「誰が」を「どの仕組み・手順が」に言い換える。例:「報告が遅い」→「報告のタイミングが決まっていなかった」
ペルソナをどこまで変えてよいか分からない フィードバックという根拠がある箇所だけ変える。根拠のない変更は想像であり、検証が必要な仮説として別にメモする

つまずきやすいポイント

つまずきポイント ヒント
KPTが感想の羅列になる 各項目に「だから次はどうする?」と自問する。行動につながらない項目は書き直す
Problemばかり増えてTryが空 Problemを3件に絞り、1件ずつAIと改善案をブレストする
時間内に終わらない 材料集めに時間をかけすぎない。質疑メモの中で「答えられなかった質問」から先に扱う
読み上げを開始します...

AIに質問する