📖 テーマ設定
🔊 音声設定
1.2
1.0
1.0
▶️ 再生コントロール
🎵 BGM設定
0.3
🔔 効果音設定
0.3

伝えたいことの決定とキャッチフレーズ作成

概要

  • 日程: Day 18 / セッション 2
  • 時間: [10:00-11:00]
  • 形式: 実習
  • ゴール: 製品の価値から伝えたいことを1〜3つ決め、それぞれを簡潔なキャッチフレーズとして時間内に書き出せる
  • 学習形式: ハンズオン実習(AIブレスト)

導入(5分)

前のセッションで、プレゼン作成の手順を学びました。その最初のステップが「伝えたいことを1〜3つ決める」でしたね。

ここで問いかけです。
「みなさんの製品の価値を、たった10秒で説明できますか?」

エレベーターで偶然社長に会って、「君たちの製品、何がいいの?」と聞かれたとします。次の階に着くまでに答えられるでしょうか。これは「エレベーターピッチ」と呼ばれる有名な思考実験です。

10秒で答えられないなら、まだ価値が言葉になっていない証拠です。逆に、ここで作るキャッチフレーズが研ぎ澄まされていれば、プレゼン全体に背骨が通ります。

このセッションでは、AIをブレスト相手にして、みなさんの製品の「伝えたいこと」と「キャッチフレーズ」を作ります。

本編(10分)

1. 「誰の・何が・どう変わるのか」〜価値の言語化フレーム

伝えたいことを見つける最強のヒントは、すでにみなさんの手元にあります。**Day 3 で作ったペルソナと、カスタマージャーニーマップ(To-Be版)**です。

製品の価値は、次のフレームで言語化できます。

  • 誰の: ペルソナは誰か
  • 何が: どんな課題(ペイン)を抱えていたか(As-Is)
  • どう変わるのか: 製品によってどんな状態になるか(To-Be)

たとえば料理アプリなら、「共働きで時間のない佐藤さん(誰の)の、献立を考える毎日のストレス(何が)が、冷蔵庫の写真1枚で献立が決まる体験に変わる(どう変わる)」となります。

ここで注意してほしいことがあります。「検索機能があります」「ログインできます」は伝えたいことに該当しません。それは機能の説明であって、価値ではないからです。一方「探す時間が10分の1になります」は該当します。ペルソナの変化を語っているかが判定基準です。

flowchart LR A["ペルソナ
誰の"] --> B["課題・ペイン
何が (As-Is)"] B --> C["製品による変化
どう変わる (To-Be)"] C --> D["伝えたいこと
1〜3つ"] D --> E["キャッチフレーズ"]

ここがポイント

  • 伝えたいことは「機能」ではなく「価値(ペルソナの変化)」で語る
  • 迷ったら Day 3 の成果物(ペルソナ・CJM To-Be版)に立ち返る。22日間の成果物は鎖のようにつながっている
  • よくある間違い: チームが頑張った点(技術的な工夫)を伝えたいことにする。正しくは聴衆とペルソナにとっての価値を選ぶ

コラム

世界的なコピーライティングの古典に「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく穴である」という言葉があります(マーケティング学者セオドア・レビットが広めた格言)。機能(ドリルの回転数)ではなく価値(きれいな穴)を語れ、という教えで、60年以上たった今も世界中のマーケターが引用しています。みなさんの製品の「穴」は何でしょうか?

2. キャッチフレーズの作り方〜短く、具体的に、意外性を

伝えたいことが決まったら、それを**簡潔な文章(キャッチフレーズ)**にします。

良いキャッチフレーズの条件は3つです。

  • 短い: 一息で言える長さ(目安は20文字以内)
  • 具体的: 数字や情景が浮かぶ
  • 意外性: 「ん?」と振り向かせる引っかかりがある

対比で見てみましょう。「便利な献立支援システム」は短いですが、具体性も意外性もないので記憶に残りません。「捨てる前に、ひらめく。」なら、冷蔵庫の余り物という情景が浮かび、「捨てる」と「ひらめく」の組み合わせに意外性があります。

完璧を目指す必要はありません。このセッションのコツは量を出してから選ぶことです。ブレインストーミングの4原則(批判禁止・自由奔放・質より量・便乗歓迎)を、Day 2 以来ひさしぶりに使います。AIは疲れ知らずのコピーライターです。遠慮なく「あと10案」と注文しましょう。

ここがポイント

  • キャッチフレーズは「選ぶ」もの。まず20案以上出してから絞る
  • AIの案をそのまま採用しない。AIの案を「たたき台」にチームの言葉で磨く
  • つまずきやすい点: 最初の1案に全員が飛びつく。必ず複数案を比較してから合意形成ルールで決める

コラム

日本の有名なキャッチコピー「そうだ 京都、行こう。」(JR東海)は、わずか10文字で旅情を喚起する傑作とされます。面白いのは、文法的には少し変な日本語であることです。「そうだ、京都に行こう」と正しく書くより、読点の位置を崩した方がリズムが生まれ、心に残る。キャッチフレーズの世界では「正しさ」より「残ること」が正義なのです。みなさんも文法委員にならず、声に出したときの気持ちよさで選んでみてください。

💬 AIに聞いてみよう

実習の前に、疑問があればAIに質問してみましょう。たとえば:

  • 「機能と価値の違いを、別の製品を例に説明して」
  • 「良いキャッチフレーズの条件をもっと詳しく教えて」
  • 「有名な製品のキャッチコピーを5つ挙げて、何が優れているか分析して」

実習・演習(50分)

課題

チームで以下の手順を実施してください。

ステップ1: 価値の棚卸し(15分)

  1. Day 3 のペルソナとCJM(To-Be版)をチーム全員で開く
  2. 「誰の・何が・どう変わるのか」を埋める形で、製品の価値を箇条書きにする
  3. AIに製品概要とペルソナを伝え、「この製品の価値を10個挙げて」とブレストを依頼する
  4. 出てきた価値を見比べ、伝えたいことを1〜3つに絞る(Day 1 の合意形成ルールを使う)

ステップ2: キャッチフレーズのブレスト(20分)

  1. 伝えたいこと1つにつき、チームで自由に案を出す(批判禁止・質より量)
  2. AIにもキャッチフレーズ案を出させる。プロンプト例:
私たちの製品は「(製品概要)」です。
ペルソナは「(ペルソナの要約)」で、
伝えたいことは「(伝えたいこと)」です。
この価値を表すキャッチフレーズを、
トーンを変えて10案出してください。
(例: 情緒的な案、数字を使った案、問いかけ型の案)
  1. 合計20案以上を目標にする

ステップ3: 選定と磨き込み(15分)

  1. 候補を3〜5案に絞り、声に出して読み比べる
  2. 「短い・具体的・意外性」の3条件でチェックする
  3. 伝えたいことごとに1つ、キャッチフレーズを決定する
  4. AIに「このキャッチフレーズの弱点を指摘して」と依頼し、最終調整する

成果物

  • 伝えたいこと(1〜3つ): それぞれ「誰の・何が・どう変わるのか」の形式で記述
  • キャッチフレーズ(伝えたいことごとに1つ): 次セッションのプロット作成の入力になる

ヒント

  • 伝えたいことが絞れないときは、AIに「ペルソナの〜さんが一番喜ぶのはどれだと思う?理由も教えて」と聞いてみましょう
  • キャッチフレーズが平凡になるときは、AIに「もっと大胆に」「中学生にも刺さる言葉で」「数字を入れて」と注文を変えて再生成させましょう
  • AIの案がしっくりこないときは、案の中の「単語」だけ借りて、チームで組み替えるのが近道です
  • 行き詰まったら声に出して読むこと。耳で聞くと良し悪しが一瞬で分かります

まとめ(5分)

今回学んだことを一言でまとめると、**「製品の価値は『誰の・何が・どう変わるのか』で言語化し、量を出してから磨く」**です。

  • 伝えたいことは機能ではなく価値。ペルソナとCJM(To-Be版)が出発点
  • キャッチフレーズは「短い・具体的・意外性」。20案出して選ぶ
  • AIは無限に案を出すコピーライター。ただし最終決定はチームの合意で

次のセッションでは、このキャッチフレーズを軸に、**プロット(ストーリー)とアウトライン(全体構成)**を作ります。いよいよプレゼンの設計図づくりです。

🔄 振り返りチェック

以下の問いに答えられるか確認してみましょう:

  • 自チームの「伝えたいこと」を、「誰の・何が・どう変わるのか」の形で言えますか?
  • なぜ「検索機能があります」は伝えたいことに該当しないのですか?
  • 良いキャッチフレーズの3条件は何ですか?
  • 決定したキャッチフレーズを、何も見ずに言えますか?

答えに自信がない場合は、該当部分を読み返すか、AIに質問してみてください。

補足資料

  • 参考リンク: 「エレベーターピッチ」「バリュープロポジション」「キャッチコピー 作り方」で検索してみましょう
  • 発展課題: 身の回りの製品(飲料・文房具など)のキャッチコピーを3つ集め、「誰の・何が・どう変わるのか」を逆算してみましょう

学習ガイド

このセクションは、受講者が理解を深めることをサポートする参考情報です。

想定される質問と回答例

質問 ヒント
伝えたいことは1つと3つ、どちらが良い? 発表時間が短いほど少なく。迷ったら「核となる1つ+補強の2つ」の構造を提案する
キャッチフレーズは発表のどこで使うの? 表紙・冒頭のつかみ・最後のまとめで繰り返し使う。ホールパート法の「ホール」を象徴する言葉になる
AIが出した案をそのまま使ってもいい? 禁止ではないが、チームで声に出して全員が納得してから。自分の言葉でないフレーズは本番で噛む
技術的な工夫もアピールしたい 質疑応答や補足スライドで披露できる。メインメッセージはペルソナの価値に絞るのが効果的と伝える

つまずきやすいポイント

つまずきポイント ヒント
機能の列挙から抜け出せない 各機能に「だから何?(So What?)」を3回繰り返すと価値に届く。AIに「この機能のSo Whatを深掘りして」と依頼してもよい
案が10個も出ない ブレスト4原則の「便乗歓迎」を使う。AIの案の一部を変えるだけでも1案。完全オリジナルを目指さない
多数決でなんとなく決めてしまう Day 1 のチーム計画書の合意形成ルールを開いて、その手順どおりに決める。決定理由を言語化しておくと発表でも使える
時間内に終わらない ステップごとの時間を計る係を決める。「質より量」のステップ2が延びがちなので、タイマー必須
読み上げを開始します...

AIに質問する