AIブレストによる課題の洗い出し
概要
- 日程: Day 2 / セッション 2
- 時間: 09:55-11:00(65分)
- 形式: 実習(AIブレスト・グループワーク)
- ゴール: ブレインストーミングの4原則を守りながら、チームで課題候補を20個以上、60分以内に列挙できる
- 学習形式: AIブレスト
導入(5分)
前のセッションで、「世の中でまだ解決されていない課題」を見つけることがDay 2の最大ミッションだと共有しました。
ここからチームでブレストを始めます。Day 1のブレストは1人とAIでしたが、今回はチーム + AIの4〜6人体制です。
このセッションのゴールは課題候補を20個以上出すこと。「たくさん?」と思うかもしれませんが、20個程度ないと選びようがないんです。3案から選ぶと、消去法で「マシな1つ」になります。20案あって初めて「光る1つ」が見つかります。
ブレストの成果は量で決まる——これを今日体感してもらいます。
本編(10分)
1. ブレストの4原則(再確認)
Day 1で学んだ4原則を再確認します。チームでやるとさらに重要になります。
| 原則 | チームでの意味 |
|---|---|
| 批判禁止 | 「それいいね」しか言わない。「いや」「でも」禁止 |
| 自由奔放 | 「現実的じゃない」と頭で却下しない |
| 質より量 | 1人最低5案。チーム合計20案を目指す |
| 便乗歓迎 | 他人の案に「それなら〜」「逆に〜」と乗っかる |
特にチームでは**「批判禁止」**が破られやすいです。声の大きい人が「それは○○だから無理」と言うと、他のメンバーが黙ります。司会役を1人決めて、批判が出たら止める仕組みを作っておきましょう。
2. AIをチームメンバーとして参加させる
AIをチームメンバーとして「席」を用意します。役割は以下のいずれか。
| AIの役割 | 使い方 |
|---|---|
| アイデア出しメンバー | 人間と同じ立場で案を提供 |
| 視点変換役 | 行き詰まったら「別の視点で」と頼む |
| まとめ役 | 出たアイデアをカテゴリ別に整理してもらう |
| ヒアリング相手 | 特定ペルソナを演じて「私はこういう人で、こんなことに困る」と語ってもらう |
今回は**「アイデア出しメンバー」「視点変換役」「まとめ役」**の3役を場面で使い分けます。
コード例・実例
「視点変換役」プロンプト例:
私たちのチームはここまで20分間ブレストして、次の課題候補を挙げました:
[候補リスト]
しかし候補がすべて「便利系のアプリ」に偏っています。
次の視点で、それぞれ3案ずつ追加候補を挙げてください:
1. 高齢者の視点
2. 子育て世代の視点
3. 地方在住者の視点
4. 災害・緊急時の視点
ここがポイント
AIに丸投げすると、ありきたりな答えが返ります。条件・制約・視点を明示するほど、出力は鋭くなります。
3. ブレストの進め方〜サイレント→声出し→AI追加
チームブレストでは、いきなり声に出して議論しないのがコツです。次の3段階で進めます。
各自で書き出し
10分"] --> B["2. 共有
順番に発表
15分"] B --> C["3. AI追加
視点変換で補充
15分"] C --> D["4. 整理
分類とラベリング
15分"]
なぜサイレントから始めるのか?
声の大きい人に引っ張られないためです。「最初に話した人の案」を中心に議論が進んでしまうのを防ぎます。全員が同時に紙やドキュメントに書く時間を作ることで、内向的な人のアイデアも残ります。
4. 課題を「困りごと」として書く
候補を書くときは、「困りごと」の形で書きます。
| 良い書き方 | 悪い書き方 |
|---|---|
| 通勤電車でスマホが片手で操作しにくい | スマホアプリを作る |
| 一人暮らしで急な体調不良時に頼れる人がいない | ヘルプアプリ |
| 飲食店の予約変更が電話のみで手間 | LINE Bot |
主語は「人」、述語は「困っている/不便/時間がかかる」。解決策をいきなり書かないこと。解決策はテーマ決定で考えます。
💬 AIに聞いてみよう
ブレスト中に行き詰まったら、こんなプロンプトを試してみましょう。
- 「『○○』というカテゴリで、世の中であまり語られていない困りごとを5つ挙げて」
- 「ここまで挙げた候補リストを見せます。カテゴリの偏りを指摘してください」
- 「ペルソナ『〜』を演じてください。最近の1週間で困ったことを5つ語ってください」
- 「『朝・昼・夜』の時間帯別に、シニアが困っていそうなことを各3個挙げて」
実習・演習(45分)
進め方(4ステップ)
各自で5案以上書く
10分"] --> B["2. 共有とAI参加
順番に発表+AI追加
15分"] B --> C["3. 視点変換ブレスト
偏りをAIに指摘してもらい補充
10分"] C --> D["4. 整理とカテゴリ分け
カードソーティング
10分"]
ステップ1(10分): サイレントブレスト
各自、無言で課題候補を最低5個書きます。書く場所はチームで共通のドキュメント(Googleドキュメント、Notion等)。他人の案を見ないように、自分のセクションに書きます。
書きにくければAIに次のプロンプトを投げて種をもらう:
私は「○○な人」(自分の属性)です。
最近の生活で「ちょっと不便」「もっとこうだったらいいのに」と思うことを、
日常生活・仕事・人間関係・健康・お金・移動の6カテゴリで2個ずつ、計12個挙げてください。
ステップ2(15分): 共有とAI参加
順番に1人ずつ発表(1人2分)。聞き手は**「いいね、それに加えて○○もありそう」**と便乗だけ言う(批判禁止)。
途中でAIに「ここまでの候補を読んで、面白いと思う3つ」を選んでもらうと、思いがけない視点が得られます。
ステップ3(10分): 視点変換ブレスト
ここまでの候補を全部AIに見せて、「カテゴリの偏りはないか」を指摘してもらう。指摘された不足カテゴリで、新たに5〜10案を追加。これで合計20案以上を目指します。
ステップ4(10分): 整理とカテゴリ分け
20案以上集まったら、カードソーティングで似たものをまとめます。AIに「以下の課題候補を3〜5のカテゴリに分けてください。各カテゴリにラベルもつけて」と依頼すると、最初の分類案が得られます。これをチームで微調整。
成果物
- 課題候補リスト(20案以上、カテゴリ分け済み)
- AIとの対話ログ(プロンプトと回答)
ヒント
- 「これは小さすぎる」と思うアイデアこそ書く。大きな問題は競合だらけ、小さな問題は未解決のことが多い
- 似た案が出ても消さない。微妙な違いに価値があることがある
- 「誰の」困りごとかをセットで書く。「学生の」「育児中の」「外国人観光客の」など
- AIに英語で同じ質問をすると、海外事例から異なる視点が得られることがある
まとめ(5分)
このセッションでは、チームでのAIブレストを体験しました。
- ブレストの4原則(特に批判禁止と質より量)をチームで実践
- **AIを「もう一人のメンバー」**として、案出し・視点変換・整理に使う
- サイレント→共有→AI追加→整理の4段階で偏りなく案を集める
次のセッションでは、開発テーマの絞り込み方を学びます。20案以上ある候補から、「情報処理をともなうシステム」として開発できる1つに絞り込む方法を扱います。
🔄 振り返りチェック
- 20案以上を時間内に出せましたか?
- AIが視点を補ってくれた瞬間はありましたか?
- 「批判禁止」が守られていましたか?破られた瞬間はありましたか?
- 自分が書いた中で、他のメンバーが「面白い」と反応した案は何でしたか?
補足資料
- 参考リンク
- IDEO『デザイン思考』(共感→定義→アイデア化)
- 『SPRINT 最速仕事術』
- 発展課題
- 別のテーマ(例: シニア・地方・教育)で同じプロセスを1人でやってみる
- 候補リストの各案について「未解決度」を3段階(低・中・高)で評価する
学習ガイド
想定される質問と回答例
| 質問 | ヒント |
|---|---|
| 20案も出ない | サイレントの時間をもう一度取る。AIに「もっと小さな困りごと」を聞く |
| 似たような案ばかりになる | 視点(年齢・地域・場面・時間帯)を変えて再ブレスト |
| AIの案が当たり障りない | 条件・制約・自分の属性を詳しく書いて再質問 |
| 批判が止まらないメンバーがいる | 司会が「いいね、それに加えて」と言い換える練習を促す |
つまずきやすいポイント
| つまずきポイント | ヒント |
|---|---|
| 「解決策」を書いてしまう | 「○○アプリを作る」ではなく「○○ができなくて困る」と書き直す |
| 声の大きい人の案に集中する | サイレント時間を守る。司会が均等に発表機会を作る |
| 「現実的でない」と却下する | ブレストでは却下禁止。選別は次のセッションで行う |
| AIを補助輪扱いする | AIを「メンバー枠」として、人間と同列に扱う |