全体KPT〜社会人基礎力の振り返り
概要
- 日程: Day 22 / セッション 2
- 時間: 10:15-11:00(45分)
- 形式: 演習(グループワーク、AIディスカッション)
- ゴール:
- 行動: 「社会人基礎力を身につけられたか」「チーム開発を経験できたか」の観点で研修全体をKPTで振り返り、今後の行動目標を1つ以上決める
- 条件: Day1の自分と今日の自分を比較し、チームメンバーへの感謝を言葉にして
- 基準: Keep/Problem/Tryそれぞれ3項目以上、SMART化された行動目標を1つ以上書く
- 学習形式: グループワーク、AIディスカッション
導入(5分)
セッション1は「企画・製品」のKPTでした。
このセッションは「自分自身」のKPTです。
22日前のDay1朝、皆さんは新人として、不安と期待を半々で席に着きました。今日はその同じ席に、22日後の皆さんが座っています。
問います。何が変わりましたか?
「全部です」と答える人もいれば、「あんまり変わってない気がする」と答える人もいるでしょう。どちらも正解です。なぜなら、自分の変化は自分が一番気づきにくいから。
このセッションで、変化を言葉にする作業をします。そして、これからの仕事の現場で持ち続けたい「行動目標」を決めます。
本編(15分)
1. 社会人基礎力とは
経済産業省が定義する「社会人基礎力」は3つの能力と12の要素から成ります。
働きかけ力
実行力"] C --> C1["課題発見力
計画力
創造力"] D --> D1["発信力
傾聴力
柔軟性
状況把握力
規律性
ストレスコントロール力"]
| 力 | 要素 | この研修で訓練された場面 |
|---|---|---|
| 前に踏み出す力 | 主体性・働きかけ力・実行力 | Day2 課題発見、Day11- 実装スプリント |
| 考え抜く力 | 課題発見力・計画力・創造力 | Day2-4 情報設計、Day9 PM |
| チームで働く力 | 発信力・傾聴力・柔軟性・状況把握力・規律性・ストレスコントロール力 | Day1 チーム計画、Day11-17 日々の朝会・終会 |
2. Day1の自分 vs 今日の自分〜比較の問い
12要素を全部振り返ると時間が足りません。**「特に変わった3つ」**を選びましょう。
比較の問い:
| 問い | Day1の自分 | 今日の自分 |
|---|---|---|
| AIに何を聞けた? | 何を聞けばよいかわからなかった | 「別の例で説明して」と深掘りできる |
| チームで意見が割れたら? | 黙ってしまった | 合意形成ルールに従い議論できる |
| 設計のない実装は? | 「とりあえず動かす」が癖だった | 「設計書を見る」が当たり前 |
| 時間内に終わらないと? | 「もっと時間があれば」と言った | 「何を削るか」を決められる |
| 困った時の最初の動きは? | 黙って悩んだ | チーム or AIに「困っている」と言える |
これらの問いに答える形で、自分のKPTを書きます。
コード例・実例
個人KPT記入例:
[Keep] 続けたい良いこと(=今日の自分の強み)
K1: 困った瞬間にAIに相談する習慣
K2: 設計書を先に書いてから手を動かす
K3: 朝会で「困りごと」を必ず1つ共有する
[Problem] 問題点(=今日の自分の弱み)
P1: タスクを大きく見積もりすぎる傾向
P2: 質疑で詰まると焦って早口になる
P3: フィードバックを受けたとき一瞬反論したくなる
[Try] 次に試したいこと(=明日からの行動)
T1(P1から): タスク見積もり後に必ず2分割を検討
T2(P2から): 質疑で詰まったら3秒沈黙してから話す
T3(P3から): フィードバックは「ありがとうございます」を先に言う
ここがポイント
「変わっていない部分」も大事な気づきです。変えたかったが変わらなかったことを書き留めると、次の3ヶ月の目標になります。
コラム
教育学の世界に「ダニング=クルーガー効果」という現象があります。
能力が低い人ほど自分を過大評価し、能力が上がってくると一度自信を失う、というもの。
22日間のPBLを終えた今、「思ったよりできなかった」と感じる人——それは伸びたから見えるようになった景色です。Day1の自分は、見えていなかったから自信があった。今の謙虚さは成長の証です。
3. 感謝を言葉にする〜チームメンバーへ
KPTのあと、もう1つやることがあります。チームメンバーへの感謝を、エピソードと共に言葉にする。
これは恥ずかしい時間です。それでも、敢えてやります。なぜなら、感謝を言わずに別れる人より、言って別れる人のほうが、仕事の関係を長く続けられるから。
伝え方のテンプレ:
○○さん、ありがとうございました。
特に△△の場面で、××してくれたことが助かりました。
これから一緒に仕事するなら、□□を一緒にやりたいです。
具体的なエピソードを1つ入れると、形式的にならず本物の感謝になります。
4. 行動目標のSMART化
KPTのTryから、1つだけ「これからの行動目標」を選びます。SMART原則で磨きます。
| S | Specific | 具体的に |
|---|---|---|
| M | Measurable | 測れる形に |
| A | Achievable | 達成可能 |
| R | Relevant | 関連性がある |
| T | Time-bound | 期限がある |
NG例: 「設計を大事にする」(曖昧)
OK例: 「配属後3ヶ月間、コードを書く前に必ず外部設計を15分書く」(具体・測れる・達成可能・関連・期限)
💬 AIに聞いてみよう
- 「(KPTを貼って)SMART原則で行動目標を磨いて」
- 「(社会人基礎力12要素から3つ)この3要素を伸ばすための1日10分の習慣を提案して」
- 「(行動目標を貼って)3ヶ月後にどう測定すべきか教えて」
実習・演習
演習: 全体KPTと行動目標宣言(25分)
時間配分:
| 時間 | やること |
|---|---|
| 8分 | 個人で全体KPTを記入(Day1との比較問いを使う) |
| 7分 | 個人で行動目標1つを選びSMART化 |
| 10分 | チームで1人ずつ「KPT+感謝+行動目標」を声に出して共有 |
最後の共有は「話す&行う」の総まとめ。1人2分目安で、必ず感謝のエピソードを1つ入れます。
まとめ(5分)
このセッションでは、22日間の自分を見つめ、これからを宣言しました。
| 体験したこと | 一言要約 |
|---|---|
| 社会人基礎力 | 3つの力・12要素を訓練してきた |
| Day1との比較 | 変わった3つを言葉にする |
| 感謝 | エピソードとセットで伝える |
| SMART | 行動目標は測れる形で |
次のセッションは確認テスト。22日間の知識定着を測ります。AIを使わず、自力で挑みます。今までの学びを信じてください。
🔄 振り返りチェック
- 社会人基礎力の3つの力を言えますか?
- Day1と今日の自分で最も変わった点を1つ言えますか?
- SMART原則の5要素を言えますか?
- 今日決めた行動目標を1文で言えますか?
補足資料
- 参考リンク
- 経済産業省「社会人基礎力」公式ページ
- 発展課題
- 行動目標の進捗を3ヶ月後にセルフチェックする日をカレンダー登録
- チームメンバーへの感謝を「短い文章」にして個別に送る(LINE等でも可)
学習ガイド
想定される質問と回答例
| 質問 | ヒント |
|---|---|
| 変わった気がしない | 変化は本人が一番気づきにくい。チームメンバーに「私の変化」を聞いてみる |
| 感謝を言うのが恥ずかしい | 一度言ってしまえば軽い。むしろ言わない後悔のほうが大きい |
| 行動目標が思いつかない | KPTのTryから1つ。一番心に引っかかったものを選ぶ |
| 配属先で続けられる自信がない | 続かない前提で「3日続けたら成功」など低くハードルを設定する |
つまずきやすいポイント
| つまずきポイント | ヒント |
|---|---|
| 「特に変わっていない」と書いて終わる | 必ず3つ書く。書き出すと隠れていた変化が見える |
| 感謝が「ありがとう」一言で終わる | 具体的エピソード+将来一緒にやりたいことをセットに |
| 行動目標が「頑張る」「気をつける」になる | 動詞+数値+期限。SMART化を必ず通す |
| 他人と比べて自分を低く見積もる | 比べる相手は他人ではなくDay1の自分。比較対象を間違えない |