企画・製品のKPTとペルソナのアップデート
概要
- 日程: Day 22 / セッション 1
- 時間: 09:30-10:15(45分)
- 形式: 演習(グループワーク、AIサポートあり)
- ゴール:
- 行動: 企画・製品の課題を洗い出してKPT形式でまとめ、ペルソナをアップデートする
- 条件: 発表会の質疑・講評を材料にし、「もし続きを開発するなら」の視点で
- 基準: Keep/Problem/Tryそれぞれ3項目以上、ペルソナの更新ポイントを2項目以上特定する
- 学習形式: グループワーク(AIサポートあり)
導入(5分)
最終日Day22。今日は「振り返り」と「確認テスト」の日です。
このセッションでは、企画・製品の振り返りをします。題材は昨日の発表会。質疑応答で何を聞かれたか、講評で何を言われたか、聴衆の反応はどうだったか——昨日の生の記憶が一番濃いうちに、形にしましょう。
ここで使うのがKPTというフレームワークです。Keep(続けたい良いこと)、Problem(問題点)、Try(次に試したいこと)の3つに分けて振り返ります。
そして最後に、ペルソナをアップデートします。「もし続きを開発するなら」という視点で、振り返りを未来の設計に活かす練習です。
本編(20分)
1. KPTとは〜3つの箱に振り返りを入れる
KPTは、振り返り会議の標準フォーマットです。アジャイル開発の現場で広く使われています。
企画・製品"] --> B["Keep
続けたい良いこと"] A --> C["Problem
問題点"] A --> D["Try
次に試したいこと"] C --> D
| 箱 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| Keep | 続けたい良いこと | 「ペルソナを毎日参照する習慣」 |
| Problem | 問題点 | 「終盤の機能追加で品質が落ちた」 |
| Try | 次に試したいこと | 「機能凍結日を本来より2日早める」 |
ポイントはTryはProblemから生まれること。Problem単独で終わると単なる愚痴になります。「ではどうするか」を必ずセットで書きます。
コード例・実例
KPT記入例:
[Keep] 続けたい良いこと
K1: チームの朝会で「困りごと」を必ず1つ共有する習慣
K2: 設計書を音読リレーで読み合わせる
K3: AIに「別の例で説明して」と頼む学習法
[Problem] 問題点
P1: 中間発表後の機能追加で既存機能が壊れた
P2: ペルソナが「30代」で曖昧だった
P3: デモ時の異常系入力で落ちた
[Try] 次に試したいこと
T1(P1から): 機能追加時に必ず既存テストを実施
T2(P2から): ペルソナの名前・職業・1日の流れを必ず書く
T3(P3から): 異常系テストを実装初日からチェックリスト化
ここがポイント
KPTで書きやすいのはKeepとProblem。難しいのがTryです。Tryは「具体・実行可能・期限付き」が大事。「頑張る」「気をつける」は禁句。動詞で書くが鉄則です。
コラム
KPT(Keep/Problem/Try)は日本のアジャイルコーチである天野勝氏が考案・普及させました。海外の振り返り手法「Start/Stop/Continue」よりも、日本人の感覚に合うとされます。
特徴は「Problemをそのまま放置せず、必ずTryに変換する」構造。問題を見つけて終わり、ではなく、次の一歩までセットで考える——これが「やりっぱなしを防ぐ振り返り」の核心です。
2. 発表会の質疑・講評を材料にする
このセッションの素材は「自分たちの記憶」だけではありません。昨日もらった質疑と講評こそが最大の材料です。
| 材料 | どこから抽出するか |
|---|---|
| 講評メモ(Day21 Session4) | 「事実」欄をそのままProblem候補に |
| 質疑応答メモ | 「答えに詰まった質問」がProblem候補 |
| 他チーム講評 | 「自分ごと化した問い」もProblem候補 |
| 発表で喜ばれた箇所 | Keep候補 |
たとえば「ペルソナの解像度が低い」という講評があれば:
Problem: ペルソナの解像度が低かった
Try: ペルソナにインタビュー5問を必ず実施する
このように、講評をそのままTryに翻訳できれば、振り返りは半分完了です。
3. ペルソナのアップデート〜「続きを開発するなら」視点
KPTができたら、最後にペルソナを更新します。これは「もし続きを開発するなら、ペルソナの想定をどう変えるか」を考える練習です。
更新の問いかけ:
| 問い | 例 |
|---|---|
| ペルソナの属性で曖昧だった部分は? | 「家族構成」が抜けていた |
| 質疑で問われて答えられなかったペルソナ像は? | 「夜に使う想定だが、本当にその時間に空いているか」 |
| 発表会で出た「別の使い手」候補は? | 「学生だけでなく社会人も使うかも」 |
| 今のCJM(To-Be版)で説明できないシナリオは? | 「予約をキャンセルする場面」 |
更新は追加・修正・削除の3つ。Day3で作ったペルソナのプロフィールに、今日の気づきを書き加えます。
💬 AIに聞いてみよう
- 「(KPTを貼って)ProblemからTryへの変換が弱い項目を指摘して」
- 「(質疑メモを貼って)この中からKPTのProblem候補を抽出して」
- 「(ペルソナを貼って)解像度を上げるための追加質問を5つ作って」
実習・演習
演習: 企画・製品のKPTとペルソナ更新(20分)
時間配分:
| 時間 | やること |
|---|---|
| 5分 | Day21の講評メモ・質疑メモを全員で読み返す |
| 5分 | 付箋にKeep/Problemを書き出す(個人作業) |
| 5分 | チームで集約・分類してTryに変換 |
| 5分 | ペルソナ更新点を2項目以上特定 |
成果物テンプレート:
# 企画・製品のKPT
## Keep
- K1: ...
## Problem
- P1: ...
## Try(Problemと紐付ける)
- T1(P1から): ...
# ペルソナ更新ポイント
- 追加: ...
- 修正: ...
- 削除: ...
まとめ(5分)
このセッションで体験したのは、振り返りを未来の設計に変えるプロセスです。
| 体験したこと | 一言要約 |
|---|---|
| KPT | Keep/Problem/Try、TryはProblemから生む |
| 講評の活用 | そのままTryに翻訳 |
| ペルソナ更新 | 「続きを作るなら」視点で追加・修正・削除 |
次のセッションでは、企画・製品だけでなく研修全体を振り返ります。Day1の自分と今日の自分を比べる、22日間で一番大切な時間です。
🔄 振り返りチェック
- KPTの3つの箱は何ですか?
- Tryを書くときの3条件は何ですか?
- 講評をKPTに活かす方法を説明できますか?
- ペルソナのアップデートで使う問いかけを1つ言えますか?
補足資料
- 参考書籍
- 『これだけ!KPT』天野勝著
- 発展課題
- 自分の業務生活でもKPTを週次で回してみる
- ペルソナ更新後のCJMを軽く描き直す
学習ガイド
想定される質問と回答例
| 質問 | ヒント |
|---|---|
| KeepとProblemしか出てこない | Problemから「ではどうする」を逆算する。AIに案を出させる |
| Tryが「頑張る」になる | 動詞+数値+期限。「○○を毎日10分」など測れる形に |
| 講評内容が思い出せない | 昨日のメモを掘り出す。チームで断片を持ち寄ると復元できる |
| ペルソナをどこまで更新する? | 2項目以上を目安。完璧を目指さず、気づきを言語化することが大事 |
つまずきやすいポイント
| つまずきポイント | ヒント |
|---|---|
| Problemが愚痴の羅列になる | 「事実」だけ書く。感情はメモに留め、KPTには事実 |
| Tryが抽象的で行動につながらない | 「明日から何をするか」を具体的動詞で書く |
| 講評メモを使わずに「記憶」だけで振り返る | 必ずメモを開く。記憶は美化されたり消えたりする |
| ペルソナ更新を「やり直し」と捉える | 更新は「進化」。前の自分が間違ったのではなく成長した証 |