通しリハーサルとフィードバック
概要
- 日程: Day 20 / セッション 3
- 時間: 11:10-12:40(90分)
- 形式: 演習(プレゼンテーション、相互レビュー)
- ゴール:
- 行動: 本番と同じ流れ・時間配分で通しリハーサルを実施し、得たフィードバックに基づいて発表を修正する
- 条件: 他チームを聴衆役・質疑応答役として
- 基準: 時間内に収まり、各チームが具体的な修正点を3件以上特定する
- 学習形式: プレゼンテーション、相互レビュー
導入(5分)
ここから本番1日前の通しリハーサル。今日の3セッションの集大成です。
ルールは1つだけ。本番だと思ってやる。
- 入退場も本番通り
- スライド送りも本番通り
- デモも本番通り
- 質疑応答も本番通り
途中で止めない。詰まっても続ける。本番に「やり直し」はないからです。
他チームは「聴衆役」「質疑応答役」「審査員役」を兼ねます。本気で質問を投げ、本気で評価します。これは仲良しごっこではありません。仲間としての最後の贈り物を、お互いに渡し合う時間です。
本編(15分)
1. 通しリハーサルの進め方
1チームあたりの目安時間(実時間 + 切り替え):
| ステップ | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 準備・接続 | 2分 | PC接続・スライド表示 |
| 通し発表 | 本番想定時間 | 入退場含めて本番通り |
| 質疑応答 | 5分 | 他チーム&講師が質問 |
| フィードバック | 5分 | 良かった点・改善点を声に出して伝える |
2. 時間超過時の判断〜「削る」が原則
リハーサルでよくあるトラブルは「時間オーバー」です。本番では時間が来た瞬間にマイクが切られると思ってください。
時間が足りなくなったとき、選択肢は次の3つ。優先順位は上から。
| 選択肢 | 説明 | いつ使うか |
|---|---|---|
| 1. 削る | 中盤の詳細説明を1〜2枚カット | 本番直前まで使える |
| 2. 速くする | 同じ内容を早口で | NG。聞き手に伝わらない |
| 3. 巻き戻す | デモ短縮で時間調整 | デモ部分が長すぎる場合のみ |
「削る」覚悟を、リハーサル時点で決めておきます。本番中に判断しようとすると、頭が真っ白になります。
コード例・実例
時間超過時の「削れる順番」例:
[優先度: 削ってよい順]
1. 細かい技術詳細(実装の苦労話など)
2. 重複している説明(既に言ったこと)
3. 開発プロセスの説明
4. 機能の網羅的紹介
---ここから下は削ってはいけない---
5. ペルソナと課題
6. 解決のコア体験(デモのハイライト)
7. 伝えたいこと(キャッチフレーズ)
ここがポイント
時間管理で大切なのは「核を守る」発想です。すべて等価な情報ではなく、**伝えたいこと(Day 18で決めた1〜3つ)**を最後まで守る。それ以外は緊急時には捨てる覚悟を持ちます。
コラム
TEDトークの講演時間が「18分」に設定されているのを知っていますか?
TED創設者クリス・アンダーソンは「18分は集中の限界。それを超えると人は記憶を失う」と語っています。同時に、18分は「短すぎず、長すぎず、内容を磨きこむのにちょうどよい制約」。
皆さんの発表時間も、同じ意味で「制約」です。短いからこそ、何を残すかが鍛えられます。
3. フィードバックの伝え方〜成果物に対して
リハーサル後のフィードバックは、Day13で学んだ「成果物へのレビュー」と同じ作法です。
OKな伝え方:
- 「キャッチフレーズが冒頭で出たので、何を伝えたいかすぐ分かりました」
- 「デモのこの画面で、ペルソナがどう得をするかが少し分かりにくかった」
- 「2分超過しています。○○の説明を削るとちょうど収まりそうです」
NGな伝え方:
- 「センスがない」(人格への評価)
- 「全体的にイマイチ」(具体性なし)
- 「もっと頑張って」(行動指針なし)
「具体的に・成果物について・行動可能な形で」がフィードバックの3原則です。
💬 AIに聞いてみよう
- 「(発表アウトラインを貼って)審査員役として鋭い質問を5つ投げて」
- 「時間オーバーした時の典型的なリカバリー方法を3つ教えて」
- 「フィードバックを建設的に伝えるための定型文を3つ作って」
実習・演習
演習: 通しリハーサル全チーム実施(70分)
時間配分の例(4チームの場合・1チーム15分目安):
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 11:10-11:15 | 順番決め、聴衆役の心構え共有 |
| 11:15-11:30 | 第1チーム リハ・質疑・フィードバック |
| 11:30-11:45 | 第2チーム リハ・質疑・フィードバック |
| 11:45-12:00 | 第3チーム リハ・質疑・フィードバック |
| 12:00-12:15 | 第4チーム リハ・質疑・フィードバック |
| 12:15-12:35 | 各チーム指摘事項の修正反映 |
聴衆役の動き:
- スライドを真剣に見る(スマホ禁止)
- 「ペルソナだったら」の視点で観る
- 「分からなかった瞬間」をメモ
- 質疑で具体的な質問を1つは投げる
修正反映タイムでやること:
- 指摘事項を「対応する/しない/Plan B化」の3つに分類
- 対応するものはすぐ修正
- 「しない」と決めたものはチームで合意し、その理由をメモ
まとめ(5分)
このセッションでは、本番の縮図を体験しました。
| 体験したこと | 一言要約 |
|---|---|
| 通しリハ | 止めない・本番想定で |
| 時間超過時 | 「削る」が原則、削る順番は事前決定 |
| フィードバック | 成果物に対して具体的に・行動可能に |
明日はいよいよ本番です。今日のリハで見つけた修正点を反映し、心を整えてください。深呼吸して、しっかり寝てください。
🔄 振り返りチェック
- 通しリハーサルの基本ルールは何ですか?
- 時間超過時の3つの選択肢と優先順位を言えますか?
- フィードバックの3原則は何ですか?
- 聴衆役として、聴くときに何の視点を持ちますか?
補足資料
- 参考リンク
- TEDトーク「How to give a killer presentation」(クリス・アンダーソン)
- 発展課題
- 過去の自分の発表で「時間オーバーで伝えきれなかった」経験を振り返る
- 他チームの発表から「自チームに取り入れたいテクニック」を1つメモする
学習ガイド
想定される質問と回答例
| 質問 | ヒント |
|---|---|
| リハで詰まったら止めて確認したい | 本番想定なら止めない。終わってから振り返る。本番に「止める」はない |
| 指摘が多すぎてすべて対応できない | 「価値の核」に関わる指摘から優先。装飾的指摘は時間があれば対応 |
| 聴衆役なのに何を質問すればよいか分からない | 「分からなかった瞬間」を質問にする。「○○の所で、××がよく分からなかった」 |
| 時間に収まった気がするが本番で超過しそう | 本番は緊張で早口になるか、間が伸びるかの両方ある。1分余裕を持つ設計に |
つまずきやすいポイント
| つまずきポイント | ヒント |
|---|---|
| リハの途中で「やっぱり止めて直したい」と感じる | 通したあとに振り返る。流れの中の違和感は最後に整理するほうが正確 |
| フィードバックを「攻撃」と受け取る | レビューは「贈り物」。直すかどうかは自分たちの選択。受け取り方を分離 |
| 修正反映の時間を取らずに発表会終了 | 修正の20分は必ず確保。指摘されただけで終わるとリハの意味が半減 |
| 時間オーバーしたら全部を早口で詰める | 早口は最悪。事前に決めた「削る順番」に従って静かに削る |