製品の動作確認と資料の最終確認
概要
- 日程: Day 20 / セッション 2
- 時間: 09:50-11:00(70分)
- 形式: 実習(ハンズオン)
- ゴール:
- 行動: セッション1で作ったチェックリストの全項目を確認し、発見した問題を修正する
- 条件: 本番と同じ機材・環境で
- 基準: チェックリストの全項目がOK、もしくはOK不能な項目にPlan Bが用意されている状態にする
- 学習形式: ハンズオン実習
導入(5分)
セッション1で5観点のチェックリストを作りました。ここからは「実際にやってみる」時間です。
ここで1つだけ強調します。本番と同じ機材・環境で確認する。これが破られると、リハーサルの意味の8割が消えます。
たとえば「自分のPCでは動いたから大丈夫」は通用しません。本番会場では、プロジェクタの解像度が違う、Wi-Fiが遅い、フォントが入っていない、画面サイズが小さい——あらゆる「自分の机にはない条件」が襲ってきます。
このセッションでは、チェックリストを潰しながら「動かなかったらどうする?」のPlan Bも同時に育てていきます。
本編(25分)
1. 「本番と同じ」をどう作るか
「本番と同じ環境」と言われても、本番会場が今ここにないなら、できることは限られます。それでも次の4つは必ず合わせます。
4要素"] --> B["1. ディスプレイ"] A --> C["2. ネットワーク"] A --> D["3. PC・OS"] A --> E["4. 操作者"]
| 要素 | 本番想定で確認すること |
|---|---|
| 1. ディスプレイ | プロジェクタ/大型モニタ/解像度/フォント大きさ |
| 2. ネットワーク | 会場Wi-Fi/オフライン時の挙動 |
| 3. PC・OS | 発表当日に使う実機/ブラウザ/OS |
| 4. 操作者 | 当日デモを操作する本人が触る |
コード例・実例
「自分のPCでは動くが、別PCで動かない」典型例。
[NG例] localhost で動くデモ
→ 別PCのブラウザからアクセスできない
→ 当日は発表者のPC1台のみで完結する構成にする
[NG例] 開発中のブランチで動くデモ
→ 当日のリポジトリ状態と違う
→ 「発表用ブランチ」を確定させ、当日もそこから動かす
[NG例] 「絶対動く」前提のAPI呼び出し
→ 当日ネットワークが詰まったら即崩壊
→ 失敗時のメッセージを準備、もしくはローカルにモックデータ
ここがポイント
「今動いた」は「本番で動く」の証拠ではありません。「他人が・他のPCで・他のネットで・本番直前に動く」ことが本物です。
コラム
ソフトウェア開発の世界に「Demo Effect(デモ効果)」という言葉があります。
「リハーサルでは完璧に動いたデモが、本番では必ず壊れる」という現象です。原因は超常現象ではなく「観客が増えて緊張」「環境が違う」「実行者が違う」のどれか。
スティーブ・ジョブズはiPhone初代発表のリハーサルで何百回もデモを通したと言われます。それでも本番では裏で2台目のiPhoneがスタンバイしていました。プロほどPlan Bを用意します。
2. デモ失敗時のPlan B〜3段階の備え
デモが止まったとき、無音になって司会が固まる——これが最悪のシナリオです。これを避けるため、Plan Bを3段階で準備します。
| Plan | 内容 | 用途 |
|---|---|---|
| Plan A | ライブデモ(本物の製品を動かす) | 第1選択 |
| Plan B | デモ動画(30秒〜1分の録画) | ライブが止まったら切り替え |
| Plan C | スクリーンショット(数枚) | 動画も再生できない緊急時 |
切り替えは「2秒詰まったらPlan B」など、事前に判断基準を決めておきます。本番でアドリブで判断すると、判断自体に時間を取られて沈黙が長引きます。
3. 資料の最終確認〜全員で読み合わせる
スライドの誤字脱字・ページ番号・遷移リンク・デモ呼び出しの位置——これらは1人でチェックすると必ず見落とします。
おすすめの方法は「音読リレー」です。
- スライドを画面に映す
- メンバーが順番に1スライドずつ声に出して読む
- 違和感を覚えた人はその場で止める
声に出すと、目だけでは気づかなかった「読みづらさ」「意味の通らなさ」がわかります。これは設計書レビューでも使えるテクニックです。
💬 AIに聞いてみよう
- 「(製品のデモシナリオを貼って)このデモで起こりうるエラーを5つ挙げて」
- 「(スライドのアウトラインを貼って)論理の飛躍がある箇所を指摘して」
- 「プロジェクタにつないだ時に起きる典型的なトラブル5つと対処を教えて」
実習・演習
演習: チェックリスト全項目の確認と修正(35分)
時間配分の目安:
| 時間 | やること |
|---|---|
| 15分 | チェックリストを観点1〜3(製品・資料・役割)について確認・修正 |
| 10分 | 観点4・5(機材・代替手段)の確認、Plan B素材の準備 |
| 10分 | OKにできなかった項目を一覧化し、Plan B / 削除 / 当日対応のどれかに振り分ける |
確認の進め方:
- 担当者がチェック項目を音読する
- 該当機能・資料を実機で動かす/見る
- OKなら「OK」、NGならその場で修正or Plan Bに振り分ける
- 修正したら必ず再確認する(直したつもり病の予防)
まとめ(5分)
このセッションでは、チェックリストを片手に本番と同じ環境で確認しました。
| 体験したこと | 一言要約 |
|---|---|
| 「本番と同じ」4要素 | ディスプレイ・ネットワーク・PC・操作者 |
| Plan B 3段階 | ライブ→動画→スクショ |
| 音読リレー | 1人では気づけない違和感を見つける |
次のセッションでは、本番と同じ流れで通しリハーサル。他チームが聴衆役・審査役になり、質疑応答まで含めて本番さながらにやります。
🔄 振り返りチェック
- 「本番と同じ」の4要素を言えますか?
- Plan A・B・Cはそれぞれ何を指しますか?
- 「直したつもり病」を防ぐにはどうしますか?
- 音読リレーの目的は何ですか?
補足資料
- 参考リンク
- 「Demo Effect」: 開発者の経験則。実例検索でケースを学ぶ
- 発展課題
- 自チームのデモ動画(30秒)を録画してみる
- スクショだけで「製品の価値が伝わる5枚」を選んでみる
学習ガイド
想定される質問と回答例
| 質問 | ヒント |
|---|---|
| 本番会場がまだ使えない場合は? | 会場と最も近い条件(教室の大画面・別PC・別ネット)で代替確認する |
| Plan Bの動画は何分が適切? | デモのコア体験のみ抜粋して30秒〜1分。長すぎると差し替えに失敗する |
| 修正で時間が足りなくなったら? | 「価値の核」を守る。装飾的な機能はカットして核を磨く |
| 全部Plan Bでよくない? | ライブの緊張感は別物。Plan Aを基本、Bは保険として位置づける |
つまずきやすいポイント
| つまずきポイント | ヒント |
|---|---|
| 自分のPCだけで確認して安心する | 必ず別PC・別ネットを噛ませる。最低限、ブラウザのシークレットモード |
| 直したら再確認せずに次へ進む | 「修正→再確認」を1セット。1項目で2回チェックがつくように記録 |
| Plan Bの素材を作らずに「動くから大丈夫」と判断 | 動くものほどPlan Bを準備する。動かなかった時の落差が大きいから |
| 細かい誤字に時間を奪われる | 「価値が伝わるか」が最上位。誤字は最後にまとめて修正 |