チーム計画書の作成
概要
- 日程: Day 1 / セッション 4
- 時間: 11:40-12:40(60分)
- 形式: 実習(ハンズオン・グループワーク、AIサポートあり)
- ゴール: チーム名・合意形成ルール・役割分担・コミュニケーション計画を含むチーム計画書を、時間内にチーム全員の合意のもとで完成できる
- 学習形式: ハンズオン実習(AIサポートあり)、グループワーク
導入(5分)
Day 1の最後のセッションです。前のセッションで学んだ「チーム開発の原則」を、いよいよ自分たちのチームに当てはめます。
このセッションのゴールはチーム計画書を時間内に完成させること。完璧な計画書ではなく、今のチームメンバーで合意できる第1版を作ります。
注意してほしいのは、これは形式的な作業ではないということ。ここで決めたルールが、次の21日間のチームの動き方を決めます。「役割は何となく」「会議は気が向いたとき」では、必ず途中で揉めます。最初に決めて、合意してから走り出します。
本編(10分)
1. チーム計画書とは何か
チーム計画書は、チームがチームとして機能するための約束事を書いた1枚の文書です。最低限、次の4要素を含みます。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| チーム名 | チームのアイデンティティ |
| 合意形成ルール | 何かを決めるときの手順 |
| 役割分担 | 誰が何の責任を持つか |
| コミュニケーション計画 | いつ・どこで・何を話すか |
これは1度作ったら終わりではなく、運用しながら必要に応じて更新します。ただし更新には「合意した内容に変更が生じる場合には事前に報告して調整する」という研修の根幹ルールが適用されます。
2. 合意形成ルールの設計
「全員一致まで議論する」のは現実的ではありません。とはいえ「リーダが全部決める」では、メンバーがついてきません。チームに合った合意形成ルールを最初に決めておきます。
代表的なパターン:
- 全員一致: 全員がYesと言うまで議論。理想的だが時間がかかる
- 多数決: 過半数で決定。早いが少数派の不満が残る
- リーダ決定: リーダが最終判断。早いが独断のリスク
- コンセンサス: 全員が「強く反対ではない」状態で決定。バランス型
実務でおすすめは**「議論は全員一致を目指す→時間がきたらコンセンサス→それでも揉めたらリーダ決定」**の三段構え。判断のスピードと納得感を両立させます。
3. 役割分担とコミュニケーション計画
前セッションで学んだ通り、MECE(重複なく・漏れなく)で役割を割り振ります。チーム計画書には、役割名 + 担当者名 + 主な責任を書きます。
コミュニケーション計画では、会議体・レビュー・振り返りの3種類を設計します。本研修では特に次の4つは確実に組み込んでください。
- 朝会(10分): 毎朝、今日の予定共有
- 終会(20分): 毎日終わり、進捗報告と課題共有
- チーム内レビュー: フェーズ完了時に成果物を相互チェック
- 振り返り: 各フェーズ終了時にKPTで改善
4. AIをレビュアとして使う
計画書ができたら、必ずAIに見てもらってください。プロンプト例:
私たちのチーム計画書を貼ります。次の観点でレビューしてください:
1. 役割分担にMECE違反(重複・漏れ)はないか
2. コミュニケーション計画に不足はないか
3. 合意形成ルールが曖昧でないか
4. 22日間のPBLで起こりがちな問題のうち、この計画書でカバーされていないものはないか
【ここに計画書を貼り付け】
AIは「この役割は誰がやるのか分かりにくい」「振り返りの頻度が書かれていない」など、見落としを指摘してくれます。
💬 AIに聞いてみよう
ハンズオン中、こんな質問もしてみてください。
- 「PBL研修のチームでよくある『最初の3日でやらかしがちな失敗』を5つ挙げて」
- 「『合意形成ルール』のサンプル文を3パターン作って」
- 「チーム名は何文字以内が覚えやすい?由来があると良い理由は?」
実習・演習(40分)
進め方
(5分)"] --> B["2. 役割分担を決める
(10分)"] B --> C["3. 合意形成ルールを決める
(10分)"] C --> D["4. コミュニケーション計画を決める
(10分)"] D --> E["5. AIレビュー&発表準備
(5分)"]
ステップ1(5分): チーム名を決める
「ブレストの4原則」で候補を10個出し、コンセンサスで1つに決めます。AIに「私たちのチームは○○な人が集まっていて、××に取り組みます。チーム名を10案出して」と聞くと、語感の良い候補が並びます。
ステップ2(10分): 役割分担を決める
各自が「やりたい役割」「できる役割」を1分で表明し、その上で配分します。MECEチェックを最後に必ず行うこと。
役割テンプレート:
| 役割 | 担当者 | 主な責任 |
|---|---|---|
| プロジェクトマネージャ | スケジュール管理、対外調整 | |
| リーダ | チームの意思決定 | |
| サブリーダ | リーダ・PMの補佐 | |
| デザイン担当 | 画面・体験設計 | |
| 開発担当 | 実装・テスト |
「ドキュメント整備」「議事録」「AI活用支援」など、フィットする責任を追加してOKです。
ステップ3(10分): 合意形成ルールを決める
次の論点を順に決めます。
- 通常の意思決定: 全員一致を目指す/コンセンサス/多数決のどれか
- 判断が割れたとき: 最終決定権は誰が持つか
- 変更が必要なとき: 「事前報告→再合意」の手順をどう取るか
書き出し例:
当チームでは、意思決定はコンセンサスを基本とする。30分議論しても結論が出ない場合はリーダが決定する。一度合意した内容を変更する必要が生じた場合、提案者は変更したい内容と理由を事前にチームに共有し、合意を得てから変更する。
ステップ4(10分): コミュニケーション計画を決める
| 項目 | 決めること | 例 |
|---|---|---|
| 朝会 | 時刻・所要時間・話すこと | 9:30-9:40 / 昨日・今日・困りごと |
| 終会 | 時刻・所要時間・話すこと | 12:20-12:40 / 進捗・課題・かんばん更新 |
| 連絡手段 | チャット・対面の使い分け | 即時=対面、記録は要チャット |
| レビュー | 誰が誰のものをいつ見るか | 毎日終会で互いの成果物を5分共有 |
| 振り返り | 頻度・形式 | フェーズ末にKPT 30分 |
ステップ5(5分): AIレビュー&発表準備
チーム計画書をAIに貼ってレビューを依頼。指摘事項に基づいて1〜2箇所だけ修正します(時間内に完成させるのが優先)。
最後に、各チームが計画書を声に出して発表します(話す&行う)。発表は1分以内。
成果物
チーム計画書(テンプレ):
# チーム計画書
## チーム名
[チーム名](由来: )
## メンバーと役割分担
| 名前 | 役割 | 主な責任 |
## 合意形成ルール
- 通常:
- 判断が割れたとき:
- 変更が必要なとき:
## コミュニケーション計画
- 朝会:
- 終会:
- 連絡手段:
- レビュー:
- 振り返り:
## チームの行動指針(3つまで)
1.
2.
3.
ヒント
- 完璧を求めない。時間内に1版を出すことが目標
- 役割分担で揉めたら、ジャンケンより「タイマー5分の議論」で決める
- 合意形成ルールは短く言い切る。長い文章は守られない
- AIに「もっとシンプルにできない?」と聞くと、無駄な装飾が削れる
まとめ(5分)
このセッションでは、チーム計画書を実際に作りました。今日決めたことは、明日からの22日間ずっと使います。
ポイントは3つ。
- チーム計画書はチームの取扱説明書: 役割・ルール・コミュニケーションを言語化
- 合意の変更は事前に報告: 研修の根幹ルールを必ず明記
- 完璧より完了: 1版を出して走り出し、必要に応じて更新する
Day 2からはいよいよ情報設計に入ります。「世の中でまだ解決されていない課題」を見つけ、「情報処理をともなう開発テーマ」を決定します。今日決めた合意形成ルールが、最初に試される場面です。
🔄 振り返りチェック
- 自分の役割と、その責任を1文で説明できますか?
- 合意形成ルールを、メンバー全員が同じように説明できますか?
- 「困っていること」を共有する場(朝会・終会)が計画に組み込まれていますか?
- 「合意の変更は事前に報告」が計画書に書かれていますか?
補足資料
- 参考リンク
- PMI『PMBOKガイド』(コミュニケーション計画の章)
- 『INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント』
- 発展課題
- 自チームの計画書を他チームに見てもらい、不明確な点を指摘してもらう
- 「もし誰かが1日休んだら、その業務をどう回すか」を計画書に追記してみる
学習ガイド
想定される質問と回答例
| 質問 | ヒント |
|---|---|
| 役割を兼任していい? | OK。「責任が誰かに割り振られていること」が大事 |
| 合意形成ルールを途中で変えたい | 根幹ルールに従う:事前報告→再合意→変更 |
| メンバー間で意見が割れたら? | まず議論→時間で打ち切り→ルールに従って決定。決定後はチームとして実行 |
| チーム名は真面目にすべき? | チームが愛着を持てるなら、ふざけていてもOK。ただし発表に出して恥ずかしくない範囲で |
つまずきやすいポイント
| つまずきポイント | ヒント |
|---|---|
| 役割分担で「リーダ」のなり手がいない | 「22日間限定」と期限を切る。やってみたら案外できる |
| 合意形成ルールが長文すぎる | 3行以内に収まらないルールは守られない |
| コミュニケーション計画が「とりあえずチャット」だけ | 同期(対面)と非同期(チャット)の使い分けを決める |
| 計画書が完成しても声に出さない | 必ず発表する。声に出すと矛盾や曖昧さに気づく |