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成果発表資料作成とデモ

概要

  • 日程: Day 4 / セッション 5
  • 時間: [14:00-14:45]
  • 形式: 演習
  • ゴール: 役割分担実績(AI協働の記録)・ソフトウェア構成・デモ・KPT・アピールポイントの5項目を含む成果発表資料を作成し、AI を聴衆に見立てて5分間の発表と質疑応答を実施できる
  • 学習形式: 発表演習(AIレビューあり)

導入(5分)

手元に動くソフトウェアと GitHub のリポジトリがあります。最後の仕事は、それを「伝わる形」にすることです。

ここで少し考えてみてください。あなたの4日間の成果を一番よく知っているのは誰でしょうか? あなた自身です。しかし「知っている」と「説明できる」の間には大きな谷があります。発表とは、この谷を渡る行為です。

そしてこの発表には学習効果の仕掛けがあります。「話す&行う」は記憶定着率が最も高い学習形式です。デモを行い、自分の言葉で話すことで、4日間の学びが長期記憶に変わります。発表は儀式ではなく、学習の最終工程です。

本編(10分+演習30分)

1. 発表資料に含める5項目

教育要件で定められた5項目を、そのまま資料の章立てにします。形式はスライドでもMarkdown 1枚でも構いません。5分で話せる分量(スライドなら5〜7枚)が上限です。

  1. 役割分担実績(AI協働の記録)
    • 本来はチームの役割分担を書く項目。本研修は「あなた+AI」のチーム開発だったので、AIとの分担実績を書く
    • 例:「情報のブレストはAIに発散させ、取捨選択は自分」「db.json の変換はAI、属性名の最終決定は自分」「エラー解決はエラー文をAIに貼り、原因説明を自分の言葉で記録」
    • 良い書き方: 「何をAIに任せ、何を自分が判断したか」の境界線を書く。「全部AIがやりました」は分担実績ではない
  2. 開発したソフトウェアの構成
    • 開発ツールとフレームワーク: JSON Server(または apiary)、素のHTML+JavaScript(fetch)、GitHub
    • 構成図を1枚入れる。api/(機能)と ui/(プレゼンテーション)の分離、成果物とコードの対応(情報定義書→db.json 等)を線で結ぶ
    • ここが研修の採点ポイント。「2つの分離」が構成図で語れれば到達目標 No.4・No.5 の証明になる
  3. 開発成果のデモ
    • 主要ユースケース1本を実際に操作して見せる(一覧→詳細→登録 等)
    • 裏側も見せると強い: 登録操作の後に db.json を開き「UIの操作がAPIを通ってデータを変えた」ことを示す
  4. KPT(Keep / Problem / Try)
    • Keep: うまくいったので続けたいこと(例: 動いたらコミット)
    • Problem: 困ったこと・課題(例: 分離の判断に迷って時間を使った)
    • Try: 次に試したいこと(例: React への置き換え、本物のDBへの差し替え)
    • 各2〜3個。事実ベースで書く(「頑張った」ではなく「curl のログを貯めて再利用した」)
  5. その他アピールポイント
    • 工夫・こだわり・4日間で一番の発見。1つに絞ると印象に残る

コード例・実例

構成図の例です(発表資料にそのまま使える形)。

flowchart TB subgraph SEKKEI["設計成果物 (Day 1-3)"] J["情報定義書・ペルソナ"] M["情報モデル・状態遷移図"] R["RESTful API設計書"] W["ワイヤーフレーム"] end subgraph KINO["機能 api/"] DB["db.json (JSON Server)"] end subgraph PRES["プレゼンテーション ui/"] H["index.html"] AP["app.js (描画)"] AJ["api.js (通信の窓口)"] end J --> M M --> R R --> DB W --> H AJ -->|"HTTP + JSON"| DB AP --> AJ

ここがポイント

  • 資料作成は15分で切り上げ、発表練習に時間を残す。資料の美しさより、デモが動くことと話の筋
  • デモは必ず本番前に1回通す。「さっきまで動いていた」は世界共通の悲劇

コラム

デモの世界には「デモの神様(demo gods)」という言い回しがあります。本番の瞬間だけ動かなくなる現象への、エンジニアの諦めと祈りの表現です。史上最も有名なデモは1968年のダグラス・エンゲルバートによる「The Mother of All Demos」。マウス、ウィンドウ、ハイパーテキスト、ビデオ会議を90分で披露し、現代のコンピューティングの原型を一夜で示しました。彼が徹底したのはリハーサルです。神様に祈るより、通し練習1回。

2. AIを聴衆にした発表と質疑応答の進め方

本研修の聴衆は AI です。人間より容赦なく、しかし何度でも付き合ってくれる理想の練習相手です。次の3ラウンドで進めます。

  • ラウンド1: 発表(5分)
    • AI に聴衆役を依頼してから、資料の内容を順に話す(テキストで貼る、または読み上げ内容を書き込む)
    • 依頼プロンプト例:「あなたは新入社員研修の成果発表会の審査員です。これから私が発表します。最後まで聞いてから、良かった点2つと改善点2つを指摘してください。発表内容: (資料を貼る)」
  • ラウンド2: 質疑応答(5分)
    • プロンプト例:「次に、審査員として私に質問を3つしてください。1つは『2つの分離』について、1つは技術選定の理由、1つは意地悪な質問にしてください。私の回答にも講評をください」
    • 答えに詰まった質問こそ収穫。それが自分の理解の穴
  • ラウンド3: 改善(5分)
    • 指摘を1つだけ選んで資料を直す。全部直そうとしない(時間管理も発表技術)

質疑応答で想定される定番質問も予習しておきましょう。

  • 「なぜモックAPIを使ったのですか? 本物のDBではだめだった理由は?」
  • 「UIをスマホアプリに変えるとしたら、どのファイルが無傷で残りますか?」
  • 「情報の設計とシステムの設計の分離は、あなたの成果物のどこに現れていますか?」

3問とも即答できれば、この研修は完全合格です。

ここがポイント

  • 発表は書き言葉ではなく話し言葉で。資料を読み上げるのではなく、デモを軸に語る
  • 質疑で答えられなかった質問は、次セッションの復習リストに追加する(確認テストと同じ扱い)

コラム

KPT の元をたどると、ソフトウェア業界の「ふりかえり(レトロスペクティブ)」文化に行き着きます。ノーム・カースの著書『Project Retrospectives』(2001年)は「どんな結果であれ、全員がその時点で最善を尽くしたと信じる」という有名な最優先条項(Prime Directive)を掲げました。ふりかえりは犯人探しではなく学びの回収である、という宣言です。KPT はその日本での定番形式で、ホワイトボードを3分割するだけで始められる手軽さから広まりました。あなたの KPT も、自分を責める場ではなく、明日の自分への申し送りです。

💬 AIに聞いてみよう

  • 「私の発表資料の下書き(貼り付ける)を、審査員の視点で採点して。特に『2つの分離』の説明が伝わるかを重点的に」
  • 「あなたは辛口の技術審査員です。私のソフトウェア構成(貼り付ける)に技術的な質問を3つして。回答したら10点満点で講評して」
  • 「私の KPT(貼り付ける)が事実ベースになっているか確認して。感想文になっている項目があれば、事実ベースに書き直す例を示して」

実習・演習

課題

  1. 発表資料を作成する(15分)
    • 5項目(役割分担実績・構成・デモ・KPT・アピール)を含む資料を作る
    • 構成図1枚(Mermaid可)を必ず入れる
  2. AI聴衆に発表する(10分)
    • ラウンド1(発表)とラウンド2(質疑応答3問)を実施する
    • 答えに詰まった質問をメモする
  3. 改善して確定する(5分)
    • 指摘から1つ選んで資料を修正し、提出版とする
    • GitHub リポジトリの URL を資料に記載する

成果物

  • 成果発表資料(5項目+構成図、5分で話せる分量)
  • 提出物一式: 発表資料+ソースコード(GitHub リポジトリ URL)
  • 質疑応答メモ(答えに詰まった質問と、その後の回答案)

ヒント

  • 時間が足りなければ、資料は Markdown の箇条書きで十分。構成図とKPTを優先する
  • デモが不安定なら、操作手順を資料に書いておく(デモ台本)。最悪スクリーンショットで代替
  • 「AI協働の記録」は今日1日のチャット履歴を見返すと早い。印象的なやり取りを2〜3個引用する

まとめ(5分)

今回学んだことを一言でまとめると「発表は成果の報告であると同時に、話す&行うによる最強の復習である」です。

  • 5項目の資料で、4日間の成果物と学びを1つの物語にした
  • 構成図で「2つの分離」を自分の言葉で語れるようにした
  • AIとの質疑応答で、理解の穴を発表前に発見した

次のセッションは確認テストです。発表で言語化した知識が、問題を解く力になっているかを測ります。質疑で詰まった箇所は要注意です。

🔄 振り返りチェック

  • 発表資料に含める5項目を、見ずに全部言えますか?
  • 「なぜモックAPIを使ったのか」に30秒で答えられますか?
  • あなたの KPT の Try は、明日から実行できる具体性がありますか?

補足資料

  • 参考リンク: エスター・ダービー/ダイアナ・ラーセン『アジャイルレトロスペクティブズ』、GitHub Docs「READMEについて」
  • 発展課題: 発表資料を GitHub リポジトリの README.md に統合し、「リポジトリを開けば全部わかる」状態にする。スライドツール(Marp等)でMarkdownからスライド化するのも良い

学習ガイド

想定される質問と回答例

質問 ヒント
実装が完成していないのに発表していい? よい。未完成部分は Problem と Try に書けば、それ自体が学びの証明になる。動くユースケース1本を軸にデモする
役割分担実績に何を書けばいいか(1人開発なので) AIとの分担を書く。「AIに任せたこと/自分が判断したこと」の境界線を2〜3例。チャット履歴が一次資料
5分に収まらない デモ2分・構成1分・KPT1分・その他1分の配分にする。スライドは7枚以下、1枚30秒が目安

つまずきやすいポイント

つまずきポイント ヒント
資料作りに時間を使いすぎて発表練習ができない 資料は15分で打ち切る。美しさよりデモと話の筋。Markdownの箇条書き+構成図1枚で十分
デモが本番で動かない(起動忘れ・ポート違い) 発表直前に「JSON Server起動→ブラウザで一覧→登録1件」の通し確認を行う。デモ台本とスクリーンショットを保険に用意する
KPTが「楽しかった」「難しかった」という感想文になる 各項目を「事実+理由」で書く。「動いたらコミットで手戻りが減った(Keep)」のように行動を主語にする
AIへの質疑応答依頼が漠然として、ゆるい質問しか来ない 役割(辛口審査員)・質問数・観点(分離、技術選定)・講評の形式まで指定する。プロンプトの具体性が練習の質を決める
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