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情報の整理と分類・LATCH法

概要

  • 日程: Day 1 / セッション 07
  • 時間: [13:45-14:15]
  • 形式: 座学
  • ゴール: 「整理」と「分類」の違いを1分で説明でき、LATCH法の5つの観点(Location/Alphabet/Time/Category/Hierarchy)を例とともに列挙できる
  • 学習形式: 対話型解説

導入(5分)

前のセッションで、自分のチームのペルソナができました。これで「誰のための設計か」がはっきりしました。

ここで質問です。皆さんは部屋の片付けをするとき、まず何をしますか?「とにかく捨てる」「種類ごとに箱に分ける」「使う頻度で並べる」など、人それぞれですね。実は、これらは「整理」と「分類」という2つの異なる行為です。

このセッションでは、情報を扱う5つの分類軸「LATCH法」を学びます。次の実習で、自分の情報定義書をペルソナ視点でカードソーティングする土台になります。

本編(20分)

1. 整理と分類の違い

「整理」と「分類」、似ているようで実は別物です。

整理 = 不要なものを捨てる、必要なものを残す
分類 = 残ったものをカテゴリ分けする

家の片付けで例えると、

  • 整理: 着ない服を断捨離する(捨てる判断)
  • 分類: 残った服を「冬服/夏服/パジャマ」に分ける(カテゴリ分け)

順番は「整理 → 分類」です。捨てる前に分類すると、不要なものまで丁寧に分類する無駄が発生します。

flowchart LR Step1["整理: 不要なものを捨てる"] --> Step2["分類: 残ったものをカテゴリ分け"]

情報設計で考えると、

  • 整理: ペルソナにとって不要な情報を削除(例: 鈴木さんは「他のユーザーの平均」が不要なら削除)
  • 分類: 残った情報を、ペルソナにとって意味のある軸でグルーピング(例: 「日々の入力」「振り返り」「設定」)

ここで重要なのは、整理も分類も「ペルソナ視点」で行うこと。設計者の都合で「全部入れておく」のは、整理ができていない証拠です。

ここがポイント

プログラマーは「とにかく機能を増やす」傾向があります。しかし、IAの視点では「ペルソナにとって不要な情報を勇気を持って捨てる」のが本当の設計力です。Appleが「機能を増やさない設計」で評価されるのはこのためです。

コラム

「整理」と「分類」を体系化した日本人として、近藤麻理恵さんが世界的に有名です。「ときめき」を基準に整理する「こんまりメソッド」は、英語圏で動詞「to kondo」になりました。「Did you kondo your closet?(クローゼットを整理した?)」。情報設計も「ペルソナがときめくか」で判断すれば、こんまり流IAができるかもしれません。

2. LATCH法 — 5つの分類軸

リチャード・ソール・ワーマンが提唱した「LATCH法」は、世の中のあらゆる情報が5つの観点で分類できる、というシンプルで強力な考え方です。

LATCH = Location(場所) / Alphabet(アルファベット・五十音) / Time(時間) / Category(カテゴリ) / Hierarchy(階層)

それぞれを身近な例で見ましょう。

Location(場所): 地理的な位置で分類

  • 例: 地図アプリの「現在地周辺の飲食店」、災害情報の「都道府県別」
  • 家計簿で例えると:「使った店の場所別の支出」

Alphabet(アルファベット・五十音): 五十音/abc順で分類

  • 例: 電話帳、辞書、住所録、ECサイトのブランド一覧
  • 家計簿で例えると:「店名のあいうえお順一覧」

Time(時間): 時系列で分類

  • 例: ニュースの「新しい順」、SNSのタイムライン、家計簿の月別履歴
  • 家計簿で例えると:「日付順の支出履歴」「月別集計」

Category(カテゴリ): 種類・属性で分類

  • 例: ECサイトの「食品/家電/衣類」、家計簿の「食費/交通費/娯楽費」
  • 家計簿で例えると:「カテゴリ別の支出割合」

Hierarchy(階層): 階層・大小・重要度で分類

  • 例: 組織図、ランキング、ファイルのフォルダ構造
  • 家計簿で例えると:「支出額の大きい順ランキング」
flowchart TB LATCH["LATCH法"] LATCH --> L["Location: 場所"] LATCH --> A["Alphabet: 五十音順"] LATCH --> T["Time: 時間"] LATCH --> C["Category: カテゴリ"] LATCH --> H["Hierarchy: 階層・順位"]

ここで考えてみてください。「あなたが昨日Amazonで商品を探した時、何を使いましたか?」検索バーは「Alphabet」、新着順は「Time」、カテゴリツリーは「Category & Hierarchy」、配送先地域は「Location」。Amazonの1画面に5つすべてが詰まっています。優れたサービスは、複数の軸でアクセスできるように設計されているのです。

ここがポイント

LATCH法の力は「網羅性」にあります。世の中のあらゆる情報が、この5つのどれかで整理できる、と言われています。「他の分類軸はないか」と悩んだ時、まずLATCHに当てはまるかを確認すると、抜け漏れがなくなります。

コラム

ワーマンは2001年の著書『Information Anxiety 2』でLATCH法を発表しました。当時、Webの情報爆発で「情報不安症」が社会問題化していました。ワーマンが提案したのは「すべての情報は5つの軸のどれかで整理できる」というシンプルな解。実は最初のバージョンでは「LATCH」ではなく「LATCC」だったらしいですが、Hierarchyに変えて発音しやすくしたそうです。

3. 見出し(ラベル)の重要性

分類しただけでは情報設計は終わりません。各カテゴリに「名前(見出し・ラベル)」を付ける必要があります。

良いラベルの条件:

  1. 短い: 「食費・飲料費・嗜好品関連支出」より「食費」
  2. 明確: 「その他」を避ける。「その他」は「設計者が分類を諦めた」サイン
  3. ペルソナの言葉: 「カテゴリ」より「使い道」のほうが自然な場合も

悪いラベルの例:「マイページ」。これだけでは「何があるか」分かりません。「アカウント設定」「過去の購入履歴」「お気に入り」など、内容を表す具体的な言葉が望ましいです。

良いラベルの例:YouTubeの「登録チャンネル」「マイチャンネル」「履歴」「あとで見る」。一目で何があるか分かります。

ここで注意。ラベルはペルソナの言葉で書くこと。設計者の業界用語(「マスター」「トランザクション」「セッション」など)を出してはいけません。「鈴木さんなら何と呼ぶか」を考えます。

💬 AIに聞いてみよう

ここまでの内容で疑問があれば、AIに質問してみましょう。たとえば:

  • 「LATCH法の5軸を、私のチームのテーマに当てはめて例を作って」
  • 「『その他』を使わずに分類する工夫を教えて」
  • 「LATCH法で分類できない情報はある?」

まとめ(5分)

今回学んだことを一言でまとめると、**「整理は捨てる、分類はグループ分け、LATCHは分類の5つの観点」**です。

次のセッションでは、いよいよ実習です。LATCH法とペルソナを武器に、午前に作った情報定義書を「カードソーティング」で整理・分類します。

ペルソナとLATCHが揃った今、皆さんは情報設計の基本ツールを2つ手にしました。次の実習でそれを使い切ります。

🔄 振り返りチェック

  • 「整理」と「分類」の違いを1分で説明できますか?
  • LATCH法の5つの観点を、頭文字で列挙できますか?
  • 自分のチームの情報定義書の中で、Location/Time/Categoryに当てはまる例を1つずつ挙げられますか?

補足資料

  • 参考リンク: Richard Saul Wurman『Information Anxiety 2』、Donna Spencer『Card Sorting』
  • 発展課題: 自分が使っているアプリのメニュー構造をLATCHのどれで整理しているか分析する

学習ガイド

想定される質問と回答例

質問 ヒント
LATCH以外の分類軸はある? 価格、人気度、評価などもあるが、本質的にはLATCHの派生で表現可能
1つの情報が複数の軸に当てはまる時は? 複数の軸で表示できるように設計する。Amazonのファセット検索が代表例
「整理」せずに「分類」してもいい? 不要な情報まで分類すると複雑になる。ペルソナ視点で先に整理が原則

つまずきやすいポイント

つまずきポイント ヒント
「整理」と「分類」を混同 「整理=捨てる」「分類=分ける」と語呂で覚える
LATCHが暗記できない 「ラッチ(鍵)」と覚えると忘れにくい
「その他」カテゴリが大量にできる 分類軸が間違っている可能性。別の軸に変える
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