合格ライン: 70点以上
満点: 100点
唯識思想 確認テスト - 解答・採点基準
問1の解答(配点: 7.5点)
正解: イ
採点基準:
- 「イ」と解答している: 7.5点
- その他: 0点
解説:
唯識思想は、インド仏教がグプタ王朝期(4〜6世紀頃)に瑜伽行唯識学派によって大成されました。この時代は、ナーランダ僧院を中心とした学術活動が盛んで、唯識思想が体系的に確立されていきました。
問2の解答(配点: 7.5点)
正解: 無著(アサンガ)、世親(ヴァスバンドゥ)
(その他、弥勒(マイトレーヤ)、護法(ダルマパーラ)なども可。2名挙げられていれば満点)
採点基準:
- 2名正しく挙げられている: 7.5点
- 1名正しく挙げられている: 3.5点
- その他: 0点
解説:
無著は『摂大乗論』、世親は『唯識二十論』『唯識三十頌』など、唯識思想の重要な著作を数多く著し、学派の確立に大きく貢献しました。
問3の解答(配点: 7.5点)
正解: 六、末那、阿頼耶
採点基準:
- 3つすべて正しく記述している: 7.5点
- 2つ正しく記述している: 5点
- 1つ正しく記述している: 2.5点
- その他: 0点
解説:
八識説は、唯識思想の根幹をなす心の多層構造論です。前五識(眼・耳・鼻・舌・身)が感覚器官の働き、第六意識が思考・判断、第七末那識が自我執着、第八阿頼耶識がすべての経験の種子を蔵する根本識とされます。
問4の解答(配点: 10点)
正解: (例)唯識における認識は「見分」と「相分」という二つの側面から成り立ちます。私がリンゴを見る時、まずリンゴの色や形といった情報(相分)が目に映ります。そして、その映った情報に対して「私がリンゴを認識している」という主体的な心の働き(見分)が起こります。つまり、リンゴという外界の対象があるのではなく、心の中でリンゴの像(相分)を認識する主体(見分)が働くことで、私はリンゴを見ていると感じるのです。
採点基準:
- 見分と相分の概念を正しく説明し、リンゴを見る具体的な例を用いて認識メカニズムを明確に説明している: 10点
- 見分と相分の概念説明があるが、リンゴの例での説明がやや不明確、あるいは片方の説明が不足: 7点
- 見分と相分について触れているが、説明が不十分: 4点
- その他: 0点
解説:
見分は認識の主体(能縁)、相分は認識の対象(所縁)を指します。外界の対象が直接心に映るのではなく、心が自ら相分を現し、それを自ら見分することで認識が成立するというのが唯識の認識論です。
問5の解答(配点: 7.5点)
正解: (例)「種子生現行」とは、阿頼耶識に蓄えられた心の「種子(タネ)」が原因となって、様々な心の働き(現行)が生じ、現象世界が展開することを指します。一方、「現行薫種子」とは、私たちの行動や言葉、思考といった現行の働きが、新たな「種子」となって再び阿頼耶識に蓄えられることを意味します。この二つの働きが繰り返されることで、心の循環が形成されます。
採点基準:
- 種子生現行と現行薫種子それぞれの意味を正しく説明し、両者の循環関係を明確に述べている: 7.5点
- 種子生現行と現行薫種子それぞれの意味を説明しているが、循環関係の説明がやや不足: 5点
- 片方の説明のみ、あるいは説明が不十分: 3点
- その他: 0点
解説:
唯識の種子説は、心が原因(種子)となって現象(現行)を生み出し、その現象がまた新たな原因(種子)となるという、因果の循環を説くものです。
問6の解答(配点: 10点)
正解: (例)親切な行動は、体で行う「身業(しんごう)」と、その行動を「良いことだ」と思う「意業(いごう)」に関連します。この行動によって、阿頼耶識には「親切さの種子」や「善の種子」が薫習(くんじゅう)によって蓄えられます。この薫習は、お香の香りが服に移るように、行動の余習が阿頼耶識に染み付いていくメカニズムを指し、将来的に再び親切な行動を促す原因となったり、自分自身に良い結果をもたらしたりする可能性があります。
採点基準:
- 親切な行動が「身業」「意業」と関連することを述べ、どのような「種子」が蓄えられるかを具体的に説明している: 10点
- 「薫習」のメカニズムについて、唯識の概念を用いて説明している: 10点
- 身業・意業との関連、種子、薫習のいずれかについて言及があるが、説明が不十分: 5点
- その他: 0点
解説:
身業(身体の行動)、口業(言葉)、意業(思考)の三業は、それぞれ善悪の種子を阿頼耶識に薫習します。薫習は、行為の痕跡が心に染み付くことで、新たな種子を形成するプロセスです。
問7の解答(配点: 7.5点)
正解: ア
採点基準:
- 「ア」と解答している: 7.5点
- その他: 0点
解説:
遍計所執性(へんげしょしゅうしょう)とは、言葉や概念によって構想された、本来実体を持たない対象を「実在する」と思い込んでしまう凡夫の認識状態を指します。暗闇のロープをヘビと見間違える喩えは、この遍計所執性をよく表しています。
問8の解答(配点: 10点)
正解: (例)「金と土蔵の喩え」では、「土蔵」を依他起性に、「金」を円成実性、そして「土」を遍計所執性に例えます。土から作られた土蔵は、土という縁(原因・条件)に依存して存在しており、それが依他起性です。しかし、土蔵の本当の姿は土であり、土から金を発見すれば、土蔵という見方はなくなり金そのものとなります。この金が円成実性です。土蔵(依他起性)という現象は、土(遍計所執性を離れた真実)に依存して生じており、土蔵の無常性や実体のなさ(依他起性)を深く見極めることで、そこに隠された金(円成実性)という「ほんとうの姿」が見えてくる、という関係性を示しています。
採点基準:
- 金と土蔵の喩えを適切に用い、依他起性と円成実性それぞれの概念を正しく説明している: 10点
- 両者の関係性、特に依他起性を軸とした円成実性への転換について説明できている: 10点
- 喩えに触れているが、両者の関係性や概念説明が不十分: 5点
- その他: 0点
解説:
依他起性は縁起によって生じる相対的な存在であり、その縁起性を深く洞察することで、遍計所執性の誤謬から離れた円成実性の真実が顕現するという関係です。土蔵は土という縁(依他起性)によって存在し、その土蔵から土(遍計所執性を離れた金)を見出すことで、真実の金(円成実性)を体得できるとされます。
問9の解答(配点: 7.5点)
正解: (例)「心王」は、認識の中心となる主体(八識それぞれ)であり、対象の全体を捉える働きをします。一方、「心所法」は、心王に付随して働くさまざまな心の作用(感情、思考、意欲など)であり、心王の認識内容に影響を与えたり、詳細な側面を捉えたりする働きをします。心王は国王、心所法は大臣や家臣のような関係です。
採点基準:
- 心王と心所法それぞれの定義を正しく説明し、両者の違いや関係性を簡潔に述べている: 7.5点
- 心王または心所法のいずれか一方の説明が正しく、もう一方が不十分: 4点
- その他: 0点
解説:
心王(八識心王)は認識の主体として対象の全体を把握し、心所法(51法)は心王に付随して具体的な認識作用(感情、意志、注意など)を細かく分析するものです。
問10の解答(配点: 7.5点)
正解: 妙観察、平等性
採点基準:
- 2つすべて正しく記述している: 7.5点
- 1つ正しく記述している: 3.5点
- その他: 0点
解説:
転識得智(てんじきとくち)とは、迷いの識を転じて悟りの智を得るプロセスを指します。第六意識は妙観察智に、第七末那識は平等性智に、そして前五識は成所作智に、第八阿頼耶識は大円鏡智に転じると説かれます。
問11の解答(配点: 7.5点)
正解: 『唯識三十頌』、『唯識二十論』
(その他、『大乗百法明門論』も可。2つ挙げられていれば満点)
採点基準:
- 2つ正しく挙げられている: 7.5点
- 1つ正しく挙げられている: 3.5点
- その他: 0点
解説:
世親(ヴァスバンドゥ)は、唯識思想の確立に多大な貢献をした論師であり、『唯識三十頌』と『唯識二十論』は、その教義を簡潔にまとめた基本文献として知られています。
問12の解答(配点: 10点)
正解: (例)唯識思想と深層心理学(特にユングの集合的無意識論)には類似点が見られます。唯識の阿頼耶識は、個人の経験だけでなく、生命全体に共通する潜在的な情報(種子)を蓄える層として説明され、これはユングの提唱する集合的無意識が人類普遍の元型(アーキタイプ)を内包するという考え方と共通する側面を持ちます。
相違点としては、唯識が煩悩を転じて仏果に至る修行論を重視するのに対し、深層心理学は意識化や統合を通じて心の病の治療や自己実現を目指す点などが挙げられます。唯識は「悟り」という宗教的・哲学的ゴールを持つ一方、深層心理学はより科学的・臨床的なアプローチを取ります。
採点基準:
- 唯識思想と深層心理学の関連性について、共通点と相違点を明確に述べ、具体的に論じられている: 10点
- 共通点または相違点のいずれか一方について、具体的な考察が述べられている: 7点
- 関連性について触れているが、考察が浅い、または具体例が不足している: 4点
- その他: 0点
解説:
唯識の八識説における阿頼耶識の概念は、フロイトの無意識やユングの集合的無意識といった深層心理学の概念と比較されることが多く、心の深層構造に関する洞察において共通のテーマを持っています。しかし、その目的や到達点は異なります。
配点一覧
| 問題 | 対応する到達目標 | 難易度 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 問1 | No.1 | 基本 | 7.5点 |
| 問2 | No.1 | 基本 | 7.5点 |
| 問3 | No.2 | 基本 | 7.5点 |
| 問4 | No.2 | 応用 | 10点 |
| 問5 | No.3 | 基本 | 7.5点 |
| 問6 | No.3 | 応用 | 10点 |
| 問7 | No.4 | 基本 | 7.5点 |
| 問8 | No.4 | 応用 | 10点 |
| 問9 | No.5 | 基本 | 7.5点 |
| 問10 | No.6 | 基本 | 7.5点 |
| 問11 | No.7 | 基本 | 7.5点 |
| 問12 | No.8 | 応用 | 10点 |
| 合計 | 100点 |
到達目標別の達成度記録表
| 到達目標No. | 対応問題 | 得点 | 達成度 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| No.1 | 問1, 問2 | /15点 | % | |
| No.2 | 問3, 問4 | /17.5点 | % | |
| No.3 | 問5, 問6 | /17.5点 | % | |
| No.4 | 問7, 問8 | /17.5点 | % | |
| No.5 | 問9 | /7.5点 | % | |
| No.6 | 問10 | /7.5点 | % | |
| No.7 | 問11 | /7.5点 | % | |
| No.8 | 問12 | /10点 | % |