====== 小学生でも分かる唯識思想 ====== ===== ■ 教育目的 ===== 仏教の深い教え「唯識(ゆいしき)」を、小学生にも理解できるやさしい言葉と身近なたとえで学ぶ。「心とは何か」「自分とは何か」「世界はどう見えているのか」という問いを通じて、自分の心を見つめ、やさしい心を育てることを目指す。 ===== ■ 所要時間 ===== 所要時間:35時間 ===== ■ 到達目標 ===== ^ No. ^ 到達目標 ^ 評価基準 ^ | 1 | 「唯識」の基本的な考え方を説明できる | 「心が世界をつくっている」ことを自分の言葉で説明できる | | 2 | 心の8つの働き(八識)をたとえで説明できる | 目・耳・鼻・舌・体・考える心・わたし心・たくわえ心を説明できる | | 3 | 心のタネ(種子)のしくみを理解している | 良いことをすると良いタネがまかれることを説明できる | | 4 | ものの見え方の3つのパターンを理解している | かんちがい・つながり・ほんとうの姿を区別できる | | 5 | 自分の心を観察する習慣を身につけている | 今の気持ちに気づき、言葉にできる | | 6 | やさしい心の大切さを理解している | 自分も人も大切にする行動ができる | ===== ■ 学習内容 ===== ==== 第1部:心ってなんだろう?(3時間) ==== - はじめに:ふしぎな「心」のお話 - 心ってどこにある? - 心は目に見えない - でも、たしかにある - 心はいつも動いている - うれしい気持ち、かなしい気持ち - おこった気持ち、さみしい気持ち - 気持ちはコロコロ変わる - 心と体のつながり - こわいと心臓がドキドキ - うれしいと体が軽い - 心と体は友だち - 唯識(ゆいしき)ってなに? - 「唯」は「ただ」という意味 - 「識」は「心」という意味 - 「心だけがある」ってどういうこと? - 【ワーク】今の気持ちを絵に描こう ==== 第2部:心は世界をつくっている(3時間) ==== - ふしぎな実験:同じものが違って見える - おいしそうなケーキ、お腹いっぱいだと? - 好きな人と会う日、雨でもうれしい - 同じ景色でも気分で変わる - 心のめがね - みんな違うめがねをかけている - 同じものを見ても感じ方が違う - 自分だけの世界を見ている - インドのお坊さんが発見したこと - 2000年くらい前のお話 - 心をじーっと観察した - 「すべては心がつくっている」と気づいた - 夢のたとえ - 夢の中では夢が本当に見える - 起きると「夢だった」とわかる - 起きている時も似ているかも? - 【ワーク】同じ写真、みんなはどう感じる? ==== 第3部:心の8人の仲間たち(1)——見る・聞く・かぐ・味わう・さわる(3時間) ==== - 心には8人の仲間がいる - 心はチームで動いている - それぞれ役割がちがう - 協力して世界を感じている - 目の心(眼識・げんしき) - 色や形を見分ける - 赤いリンゴ、青い空 - 見えるものは目の心のおかげ - 耳の心(耳識・にしき) - 音を聞き分ける - 友だちの声、鳥のさえずり - 聞こえるものは耳の心のおかげ - 鼻の心(鼻識・びしき) - においをかぎ分ける - カレーのいいにおい、お花のにおい - においは鼻の心のおかげ - 舌の心(舌識・ぜっしき) - 味を感じ分ける - あまい、からい、すっぱい - 味は舌の心のおかげ - 体の心(身識・しんしき) - さわった感じを感じる - あたたかい、つめたい、いたい - 体の感覚は体の心のおかげ - 【ワーク】5つの心で感じてみよう(五感ゲーム) ==== 第4部:心の8人の仲間たち(2)——考える心(3時間) ==== - 6番目の仲間:考える心(意識・いしき) - 5つの心をまとめる - 「これはリンゴだ」と判断する - 考えたり、想像したりする - 考える心のすごいところ - 目の前にないものも想像できる - 昨日のことを思い出せる - 明日のことを計画できる - 考える心はときどきお休みする - ぐっすり眠っているとき - 気を失ったとき - でも目が覚めると戻ってくる - 考える心のクセ - すぐに「好き・きらい」を決める - 「これが正しい」と思いこむ - 「もっとほしい」と思う - 【ワーク】目を閉じて想像してみよう ==== 第5部:心の8人の仲間たち(3)——「わたし」の心(3時間) ==== - 7番目の仲間:「わたし」の心(末那識・まなしき) - いつも「わたし、わたし」と言っている - 眠っているときも動いている - とても深いところにいる - 「わたし」の心の4つのクセ - わたしが大好き(我愛・があい) - わたしが一番えらい(我慢・がまん) - わたしのことしか見えない(我癡・がち) - わたしがここにいる!(我見・がけん) - 「わたし」の心のいたずら - 「わたしのおかしを取られた!」 - 「わたしが先に並んでたのに!」 - 「わたしだけほめられたい!」 - でも「わたし」の心も大切 - 自分を守ってくれる - がんばる力をくれる - でも強すぎるとケンカになる - 【ワーク】「わたし」の心を見つけよう ==== 第6部:心の8人の仲間たち(4)——たくわえの心(3時間) ==== - 8番目の仲間:たくわえの心(阿頼耶識・あらやしき) - 心の奥の奥にある倉庫 - すべてをしまっておく - 目には見えないけれど大切 - たくわえの心は「くら」のよう - 昔の家には「くら」があった - 大切なものをしまっておく場所 - 心にも「くら」がある - 何がたくわえられている? - 今までしたことぜんぶ - 今まで言ったことぜんぶ - 今まで思ったことぜんぶ - たくわえの心と他の7人 - 7人の心はたくわえの心から生まれる - 7人の心がすることは、たくわえの心に戻る - ぐるぐる回っている - 【ワーク】心の8人の仲間の絵を描こう ==== 第7部:心のタネのひみつ(1)——タネをまく(3時間) ==== - 心にはタネがある(種子・しゅうじ) - 野菜のタネのようなもの - 目には見えない - たくわえの心にしまわれている - どうやってタネがまかれる? - 何かをすると、タネがまかれる - 何かを言うと、タネがまかれる - 何かを思うと、タネがまかれる - 良いタネと悪いタネ - やさしくすると良いタネ - いじわるすると悪いタネ - 自分でどちらをまくか決められる - タネはすぐには芽を出さない - じっと眠っている - いつか必ず芽を出す - だから今を大切にする - 【ワーク】今日まいたタネを振り返ろう ==== 第8部:心のタネのひみつ(2)——花が咲く(2時間) ==== - タネが育って花が咲く - 良いタネからは良い花 - 悪いタネからは悪い花 - 自分がまいたタネが咲く - 「くんじゅう」ってなに? - お香のにおいが服にうつる - 良いにおいも悪いにおいも - 心も同じ - まわりの人からの影響 - やさしい人といると心がやさしくなる - いじわるな人といると心がトゲトゲする - どんな人といるかも大切 - 自分で心を育てられる - 良い本を読む - 良い言葉を使う - 良いことを考える - 【ワーク】心に良いにおいをつけよう ==== 第9部:ものの見え方の3パターン(1)——かんちがい(2時間) ==== - 3つの見え方がある - 同じものでも見え方がちがう - 心のめがねによって変わる - 3パターンを知ろう - 1つ目:かんちがい(遍計所執性) - ほんとうは違うのに、そう見える - 暗い道でロープがヘビに見える - 影が幽霊に見える - 言葉のマジック - 「これはボク/ワタシのもの!」 - でも、「ボク/ワタシ」って誰? - 「もの」ってずっとそのまま? - かんちがいに気づくと楽になる - 「ヘビだ!」→「あ、ロープだった」 - こわかった気持ちが消える - 心が軽くなる - 【ワーク】かんちがいを見つけよう ==== 第10部:ものの見え方の3パターン(2)——つながり(2時間) ==== - 2つ目:つながり(依他起性) - すべてはつながっている - ひとりぼっちのものはない - いろんなものが集まってできている - たとえば「リンゴ」 - 土があって、水があって - 太陽があって、木があって - 育ててくれた人がいて - やっとリンゴになる - たとえば「わたし」 - お父さん、お母さんがいて - ごはんを食べて - 友だちがいて - 先生がいて - みんなのおかげで「わたし」がいる - すべては変わり続ける - 赤ちゃんだった自分 - 今の自分 - 大人になる自分 - ずっと同じじゃない - 【ワーク】つながりマップを作ろう ==== 第11部:ものの見え方の3パターン(3)——ほんとうの姿(2時間) ==== - 3つ目:ほんとうの姿(円成実性) - かんちがいがなくなったとき - つながりがそのまま見えたとき - ありのままの世界 - かがみのような心 - きれいなかがみは何でもそのまま映す - ゆがんだかがみはゆがんで映す - 心がきれいだと世界がきれい - お釈迦さま(ブッダ)が見た世界 - かんちがいがぜんぶなくなった - つながりがぜんぶ見えた - すべてがキラキラ輝いて見えた - わたしたちも近づける - 少しずつかんちがいを減らす - 少しずつつながりを感じる - 少しずつ心をみがく - 【ワーク】きれいな心のかがみを想像しよう ==== 第12部:心をみがく(1)——「わたし」の心をやさしくする(2時間) ==== - 「わたし」の心が強すぎると - ケンカが増える - さみしくなる - 幸せになれない - 「わたし」の心をやさしくするには - 「みんな同じ」と気づく - みんな幸せになりたい - みんなかなしいのはイヤ - 自分と他の人を入れかえてみる - もし自分がその子だったら? - もし自分がその人だったら? - 相手の気持ちを想像する - やさしさは伝染する - やさしくされるとうれしい - うれしいと誰かにやさしくしたくなる - やさしさの輪が広がる - 【ワーク】「もしわたしが〇〇だったら」 ==== 第13部:心をみがく(2)——たくわえの心をきれいにする(2時間) ==== - たくわえの心をきれいにする方法 - 良いタネをたくさんまく - 悪いタネをまかないようにする - くり返し続ける - 「転識得智」(てんじきとくち) - むずかしい言葉だけど大切な言葉 - 「にごった心をきれいな知恵に変える」 - 心がピカピカになる - 4つのきれいな心(四智) - すべてを映すかがみの心(大円鏡智) - みんな同じと思える心(平等性智) - よく観察できる心(妙観察智) - 良いことをする心(成所作智) - 仏さまの心になれる - 心をみがき続けると - だれでも仏さまのような心になれる - 唯識はその地図 - 【ワーク】4つのきれいな心を絵にしよう ==== 第14部:心を観察する練習(1)——じっと座る(2時間) ==== - お坊さんはどうやって心を観察した? - じっと座る(坐禅・ざぜん) - 目を閉じる - 呼吸に集中する - やってみよう:呼吸を感じる - 楽な姿勢で座る - 目をとじる(または半分とじる) - 息を吸う・吐くに注意を向ける - 心を観察してみよう - いろんな考えがうかんでくる - それを「あ、考えた」と気づく - また呼吸に戻る - ふしぎな発見 - 心は止まらない - ずっと何かを考えている - でも観察できる自分がいる - 【ワーク】5分間の心の観察 ==== 第15部:心を観察する練習(2)——日常の中で(2時間) ==== - 日常で心を観察する - 座っているときだけじゃない - 歩いているとき - ごはんを食べているとき - 話しているとき - 「今、ここ」に気づく - 過去のことを考えていた - 未来のことを心配していた - 「あ、今に戻ろう」 - 気持ちに名前をつける - 「あ、今イライラしてる」 - 「あ、今さみしい」 - 「あ、今うれしい」 - 気づくと少し落ち着く - 心の天気予報 - 今日の心は晴れ?くもり?雨? - どんな天気でも大丈夫 - 天気は変わるから - 【ワーク】心の天気を記録しよう ==== 第16部:唯識を生きる(1)——言葉の力(1時間) ==== - 言葉はタネをまく - やさしい言葉は良いタネ - いじわるな言葉は悪いタネ - 言葉は心に残る - 自分に言う言葉も大切 - 「どうせ自分なんて」は悪いタネ - 「がんばれ自分」は良いタネ - 自分にもやさしい言葉を - 魔法の言葉 - 「ありがとう」 - 「ごめんね」 - 「だいじょうぶ」 - 「いっしょにやろう」 - 【ワーク】今日使いたい魔法の言葉 ==== 第17部:唯識を生きる(2)——行動の力(1時間) ==== - 行動はタネをまく - やさしい行動は良いタネ - いじわるな行動は悪いタネ - 小さな行動も大切 - 毎日できること - あいさつをする - 手伝いをする - 困っている人を助ける - ゴミを拾う - 自分のためにもなる - 良いことをすると気持ちいい - 心が明るくなる - それがまた良いタネになる - 【ワーク】今週やりたい良い行動リスト ==== 第18部:唯識を生きる(3)——考えの力(1時間) ==== - 考えもタネをまく - やさしい考えは良いタネ - いじわるな考えは悪いタネ - 誰にも見えないけれど - ネガティブな考えが浮かんだら - 「あ、今悪いこと考えた」と気づく - 責めなくていい - 「次は良いこと考えよう」と思う - ポジティブな考えを増やす - 「この人のいいところは何だろう?」 - 「今日あった良いことは何だろう?」 - 「ありがたいことは何だろう?」 - 【ワーク】良いこと日記を書こう ==== 第19部:唯識のまとめ(1)——8人の仲間を復習(1時間) ==== - 心の8人の仲間をおさらい - 見る心、聞く心、かぐ心、味わう心、さわる心 - 考える心 - 「わたし」の心 - たくわえの心 - 8人はチームで動く - バラバラじゃない - 協力している - 一人が変わるとみんなが変わる - 【ワーク】8人の仲間クイズ大会 ==== 第20部:唯識のまとめ(2)——全体をふりかえる(1時間) ==== - 唯識で学んだこと - 心が世界をつくっている - 心にはタネがある - 良いタネをまくと良い花が咲く - 心はみがくことができる - これからの毎日に活かす - 心を観察する - 良い言葉を使う - 良い行動をする - 良いことを考える - 質問タイム - わからなかったこと - もっと知りたいこと - 考えたこと - 【ワーク】唯識新聞をつくろう ===== ■ 参考:保護者・指導者向けの補足 ===== * 本研修は唯識思想の本質を小学生にも伝えるために、比喩と体験学習を多用しています * 宗教教育ではなく、心の教育・情操教育として位置づけています * 各ワークは子どもの発達段階に応じてアレンジしてください * 専門用語(サンスクリット語由来の仏教用語)は必要最小限に留めています * 35時間を通じて、自己理解・他者理解・共感力の育成を目指しています